これまでクッションファンデーションやティントリップなど、さまざまな美容トレンドを生み出してきた韓国で、ビーガンコスメが注目を集め始めた。英調査会社ミンテル(MINTEL)は、注目すべき3つのKビューティスキンケアトレンドの1つにビーガンを挙げ、韓国のドラッグストア・オリーブヤング(OLIVE YOUNG)でビーガン化粧品の2018年の売上高が前年比で約70%増加したと紹介している。
ビーガンコスメは特に、ウエルネス意識の高いジェネレーションZ〜ミレニアル世代から支持を得る。植物由来成分がベースで肌にやさしいというイメージがあること、また動物愛護の観点からクルエルティーフリー(動物実験をしない)が注目され、幅広い消費者に好まれている。インスタグラムでも「ビーガン化粧品」のハッシュタグに2万件もの投稿が集まるなど、その関心の高まりがうかがえる。
ビーガンをうたう韓国コスメブランドも続々登場している。2017年に誕生した「ディアダリア(DEAR DAHLIA)」は、18年春に日本にも上陸した。ダリアの花エキスなど植物由来成分を使用し、合成香料など8つの有害とする成分を避けた処方だ。またパウダーコスメには紙製のパッケージを採用するなど環境にも配慮する。発色豊かなメイクアップ製品がそろい、人気商品の「パラダイスドリームベルベットリップムース」は、リップティントのようなロングラスティング処方が特徴だ。
ビーガン認証を取得するブランドも増え、「ボナジュール(BONAJOUR)」、はイギリスの団体であるビーガンソサエティー(THE VEGAN SOCIETY)で、またライフスタイル製品を販売するLFから昨年誕生した「アッテ(ATHE)」は、フランスのビーガン認証機関イブ(EVE、EXPERTISE VEGANE EUROPE)でそれぞれ認証を受けた。
またビーガンブランドは、クリーンビューティの要素を満たすことが多い。クリーンビューティは「WWDビューティ」5月14日号でも取り上げ、健康や環境に害のない成分を使用し、製造から販売まで環境や社会、動物に配慮された美容製品とそこでは定義づけた。まだアジアでは聞き慣れない言葉だが、欧米を中心に拡大している。
韓国でも成分解析アプリ「ファへ」の登場などをきっかけに化粧品成分への注目は高まっており、クリーンビューティとの親和性は高い。環境に配慮した成分を採用する「アンリシア(UNLEASHIA)」や、クレンジングウオーターの「レデュイール(REDUIRE)」も、ビーガン製品であるとともにクリーンビューティともいえるブランドで、どちらも日本への配送を行っている。また昨年11月に誕生した「セラムカインド(SERUMKIND)」も、クリーン&ビーガンビューティブランドとうたい、2月にはニューヨーク・ファッション・ウイークで「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」のバックステージでスキンケアの公式サポートを行うなど海外志向も強い。
さらにビーガンスキンケアの「ベージック(BEIGIC)」も6月22日から日本で販売する。コーヒービーンエキスを商品に使用し、「ルーセントオイル」は美容誌やオンラインランキングでの受賞により品切れが続く時期もあったという人気商品だ。リサイクル可能なガラス容器は、その洗練されたデザインからSNSで早くも話題となっている。
韓国はこれまでアジアの美容トレンドをけん引する存在だった。その韓国でビーガンコスメ市場が広がれば、アジア、そして日本でもビーガンコスメやクリーンビューティトレンドが広がるかもしれない。