東レは、今後10年間ほどを見据えた長期経営ビジョン「TORAY VISION 2030」と、2020年度から22年度までの3年間の中期経営課題「プロジェクト AP-G 2022」を発表した。
柱は、東レの革新的技術と先端材料を駆使したサステナビリティ事業の拡大だ。その軸としているのが、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に貢献するグリーンイノベーション(GR)事業と、医療の充実や公衆衛生の普及促進などに貢献するライフイノベーション(LI)事業の2大戦略だ。同ビジョンでは、30年度の数値目標として、13年度の実績比でGRの売上高(4631億円)と売上収益を4倍、LI(1196億円)の売上高と売上収益を6倍、またCO2削減貢献量(0.4億t)を8倍、水処理貢献量(2723万t/日)を3倍にするなどの数値目標を定めた。その上で、22年度に目指す数値目標を売上高2兆6000億円、事業利益1800億円(国際基準ベース)とした。30年度の数値目標は公表していない。
日覺昭廣・東レ社長は、「新型コロナウイルスの影響は1年半後に終息し、22年度は成長に転じると予想している。そのとき、社会的ニーズがさらに高まるGRとLIの両事業の付加価値化、差別化を図り、ビジネスを拡大したい。地球規模の課題解決に貢献できると思う。設備投資のリターンを確実に得ることが課題だ」と話した。
また、繊維事業の衣料関連事業については、「この2年は、暖冬などの影響で売り上げが落ち込んでいるのは事実。新型コロナの影響が収束後の市場は、以前と変化し、新しい価値観を持った商品が求められると思う。当社の革新的技術を駆使した機能性繊維を開発し、感性に訴える素材や商品開発を推進したい。(戦略的パートナーシップを締結している)ユニクロとも話している」と説明した。繊維事業は22年度の売上高1兆300億円、利益760億円を目標としている。