新型コロナウイルス感染拡大で4月7日に緊急事態宣言が発令され、在宅勤務や外出自粛で巣ごもりを余儀なくされている人が多い。行楽シーズンのゴールデンウイークでさえ、どこにも行かず自宅で過ごさざるを得ないという未曾有の状況だ。「人に会えない」「外出できない」こんなときに、どうすれば巣ごもりライフをエンジョイできるか、今回は写真家の夫と2人暮らしの宗形あやみ「アヤミジュエリー(AYAMI JEWELRY)」デザイナーに聞いた。
WWD:自粛生活で新しく始めたことは?
宗形あやみ(以下、あやみ):家庭菜園、干し野菜、お菓子作り、裁縫を始めました。もともと仕事以外の日には都会を離れ、自然に触れる時間を大切にする生活を送ってきていたため、外出自粛になってすぐに心も体も自然を求め始めました。
春の暖かな気候なので、テラスの鉢植えを増やしてさまざまな野菜の種や苗を植えました。自らの手で野菜を育て始めると植物への愛着が以前より増して、今日一日食事をすることに感謝し、少しでも野菜をおいしく大切に食したいと思うようになり、野菜の皮や根っこも使って、時短料理用に細かく切った野菜を干すようになりました。太陽の光をたっぷり浴びた野菜は甘くておいしいです。畑で手にいっぱい摘んだカモミールは香りにも癒され、お茶の時間は心からほっとできます。
WWD:酵素シロップ作りも始めたとか。
あやみ:野菜やフルーツの発酵に興味を持ちました。白砂糖ではなくてん菜糖で酵素シロップ作りにも挑戦しました。数日後には発酵し、炭酸で割ったり、サラダのドレッシングなどに合わせたりして、発酵の様子を日々観察しています。外食をせずに毎日自炊をしているとお肉や乳製品、グルテンをあまり摂らない生活になりました。甘いものが食べたい日には米粉やお豆腐などを使った優しいお菓子作りを楽しんでいます。
WWD:縫製は何を作っている?
あやみ:布マスク作りに励んでいます。できる時間にできるだけ作って児童施設などに送っています。10年以上使っていなかったミシンを引っ張り出して、素人ながらも作るたびに上達してきました。でも、柄を合わせるのは難しいです……。
WWD:家族との過ごし方は変わった?
あやみ:一緒に食事をするようになり、頻繁にバーベキューをしています。飲食店が休業しなくてはならない状況のため、本来出荷されるべきおいしい食材が自宅でも手に入るようになって、北海道から届いた新鮮な魚介を炭火で焼きながら食べ、魚介出汁でお味噌汁にしたり、朝食には新鮮な山羊ミルクを飲んだりして、シンプルながらも本当においしい時間を会話とともに過ごすようになりました。
WWD:リモートワーク用に新しく買ったものは?
あやみ:日除けテントを買いました。リモートワークの休憩をテラスでとるようになり、最初は日傘を設置していたのですが、時間によって角度を変えたりといそがしく、ビーチ用の日除けテントを購入しました。風通しもよくリモートワークの息抜きになります。ヨガやお昼寝にも活用しています。
WWD:日の出と日の入りの日記をつけているとか?
あやみ:もともと天体観測が趣味だったということもありますが、日の出の時刻に起き、その様子を記録するようになりました。健康に一日を過ごせることに感謝し、季節を視覚的に感じられる瞬間はとても美しく、光の物理学を知ると宇宙への理解も深まり、今日生きる地球にいることを実感できます。そう感じることで今日一日をどのように過ごすかを想像し、以前よりも真剣に時間に向き合い、有意義に過ごせるようになりました。日の入りには一日を振り返り、明るい未来を願います。
WWD:巣ごもり生活に役立つアプリやサービスはある?
あやみ:日の出・日の入りの時刻などが確認できる日の出・日の入りアプリや、今、空にどのような星や惑星が見えるかがわかる星座表アプリはおすすめです。あとは、グッゲンハイム美術館(Guggenheim Museum)のアートブック・フリーダウンロードは、たくさんのアートブックが無料で見られるのでうれしいです。artnet.com は、オンラインで楽しめるバーチャルアートイベントのスケジュールを確認できて楽しいです。
WWD:リモートワークの便利なところと不便なところは?
あやみ:便利な点は、時間が効率よく使えるところです。自分のペースで進められるので生産性が上がりました。普段から机に向かう仕事でもないのですが、さまざまなことを明確化させて取り組めるようになりました。不便な点は、スタジオで行っていた撮影を各自の環境で自然光を利用するなど不十分な設備で行ったり、企画チームや職人とカメラ越しで話すことでしょうか。直接顔を見て話すのとは対話の質が異なると感じています。今は自分なりの工夫が必要になったことです。