「ディオール(DIOR)」は新型コロナウイルスによるロックダウンの緩和に伴い、独自のアプローチでポストコロナのビジネスに取り組む。多くのブランドがコレクションやイベントの中止を発表する中、5月にはスイムウエアを含むカプセルコレクションを発売し、7月からは中国で展覧会を開催する予定だ。
まず5月25日から、2020年のサマーカプセルコレクション“ディオリビエラ(DIORIVIERA)”のリゾート地での販売を始めた。25日からポルトフィーノとカプリ、6月4日からカンヌ、モナコ、サントロペ、マルベーリャ、15日からポルトチェルボにあるブティックで取り扱う。加えて、スイムウエアやパレオ、エスパドリーユ、デッキチェアなどの商品は、ギリシャ有数のリゾート地であるミコノス島のナムモスビレッジに6月12日にオープンするポップアップストアなどでも販売する。
マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuli)=アーティスティック・ディレクターが今回のコレクションに取り入れたのは、“空想の旅行”を想起させるデザイン。トロピカル調に仕上げたメゾンのアイコンであるトワルドジュイや爽やかなマリンボーダーに加え、カプセルコレクション“ディオール アラウンド ザ ワールド(DIOR AROUND THE WORLD)”のカモフラージュや、ローマ出身のアーティストのピエトロ・ルッフォ(Pietro Ruffo)が手掛けたモチーフを用いている。
一方中国では、上海の西岸にある龍美術館で展覧会「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ(Christian Dior: Designer of Dreams)」を7月28日から10月4日まで開催する。オリオール・カレン(Oriole Cullen)がキュレーターを務め、250を超えるオートクチュールドレスやルネ・グリュオー(René Gruau)とクリスティアン・ベラール(Christian Bérard)によるイラストを展示するほか、「ディオール」と中国の歴史的つながりを表す有名中国人アーティストの作品も並べる。
展覧会のベースとなるのは17〜18年にパリ装飾美術館(Musee des Arts Decoratifs)で開催された同名の回顧展で、「同美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(Victoria and Albert Museum)で来場者を魅了したこのユニークな回顧展は、数々の素晴らしい作品に焦点を当てた新鮮な空間演出とともに中国での新たなストーリーを描く」と同ブランド。7月24日にはオープニングイベントを開催する予定だが、新型コロナによる渡航制限を受け、ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)最高経営責任者(CEO)やキウリ=アーティスティック・ディレクターが出席するかどうかは未定だ。