ファッションという「今」にのみフォーカスする産業を歴史の文脈で捉え直す新連載。2回目はコロナ禍の非常事態の中でファッションの行方を考察する後編。(編集協力:片山マテウス、この記事はWWDジャパン2020年5月25日号からの抜粋です)
前回、新型コロナウイルスを「グローバリゼーションの風邪」と例えたが、この風邪は、こじらせると死に至る病だ。そして風邪と同じく特効薬は存在しない。市販の風邪薬が一発で治る特効薬では全くなく、対処療法的に熱を下げたり、咳を鎮めたりするだけで風邪のウイルスを根絶するわけでは全くないように。
整体家の野口晴哉は名著「風邪の効用」で、風邪をひくことは身体に必要なことだと説いている。野口は風邪の恐ろしさを知り、風邪が別の病につながる難しさを知るからこそ、風邪により身体をよく知り、正しく経過させることを目指すと考える。常識である仕事や用事のために早く治すという考えの方が風邪を侮り、本来の健康を損なう原因になっていると野口は唱える。
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