素材大手の小松マテーレは一般マスク市場に本格参入する。自社で運営する公式オンラインストアで、独自開発した抗ウイルス、抗菌防臭、冷感などを備えた多機能マスク「ダントツマスクール」の販売を、6月3日からスタートする。売上高の約4割を占める主力の欧州ラグジュアリーブランド中心のテキスタイル事業が新型コロナ禍で大きな影響を受ける中、それをカバーするための新規事業に位置づける。中山大輔専務は「欧州向けのテキスタイル販売事業は、今も思うようにコミュニケーションが取れないような状況だ。今はテキスタイル事業以上にこのマスク販売に取り組む」考え。
「ダントツマスクール」は接触冷感や抗ウイルスなどに加え、花粉カット、UVカットなどの機能も持ち、素材はナイロン85%、ポリウレタン15%のトリコットニットであるため洗濯して繰り返し使用が可能。自社の公式オンラインストアやドラッグストア、地元の小売店などに加え、アパレル向けテキスタイルの取引先であるセレクトショップやファッションブランドとのコラボレーションも計画する。価格は1枚1500円で、初年度の販売目標は10億円。
現在は売上高の大半をテキスタイル販売やテキスタイルの委託生産という中間材が占めているが、「ポストコロナを考えたときに、事業ポートフォリオを変革し、最終製品まで手がける事業を作る必要がある。『ダントツマスクール』は小さくても独自性を発揮でき、かつ最終製品までを責任を持って手がけられる。現在は供給能力が月10万セットしかなく、OEM供給は現時点では考えていない」という。