ミネソタ州ミネアポリスで5月25日、黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡したことを受け、世界中で抗議運動が起きている。
アメリカでは警察官の過剰な暴力によって黒人が不当に殺される事件が何度も発生しており、「#BlackLivesMatter(黒人の命も大切だ)」と呼びかける運動が以前から行われている。今回のフロイド氏の場合は、「I can’t breathe(息ができない)」と警察官に訴えている様子が通行人によって撮影され、その動画がSNS上で拡散されたことから、ハッシュタグ「#ICantBreathe」が広まり、事件が起きたミネアポリスで抗議デモが行われた。当初は平和的に行われていたが、デモが全米に広がるにつれて一部の参加者が暴徒化。主要都市の高級ブランド店や小売店などは襲撃に備えて休業し、入り口やショーウィンドーを板で覆うなどの措置を取ったものの、窓ガラスが割られて強奪されるといった被害が多発している。なお現地メディアによれば、こうした略奪行為を行っているのは必ずしもデモの参加者ではなく、混乱に乗じた関係のない武装市民であることも多いという。
5月31日の時点で、ロサンゼルスとシカゴで被害に遭った店舗は以下の通り。
・ロサンゼルス
「グッチ(GUCCI)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「アーバンアウトフィッターズ(URBAN OUTFITTERS)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」、スニーカー専門店「フライト クラブ(FLIGHT CLUB)」、百貨店のノードストローム(NORDSTROM)など。化粧品専門店の「セフォラ(SEPHORA)」も窓ガラスを割られるなどの被害はあったものの、強奪に関わっているのが主に若い男性であることから、商品は盗まれなかったという。
・シカゴ
「グッチ」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「ディオール(DIOR)」「ナイキ(NIKE)」のほか、百貨店のメイシーズ(MACY’S)、ブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE'S)、ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)など。
新型コロナウイルスによる外出規制が緩和された矢先のことだが、多くのブランドや小売店では安全確保を優先し、事態が沈静化するまで再び休業すると発表している。