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営業再開の百貨店、新常態への対応模索 5月度は6~9割の減収

 主要百貨店5社の5月度売上高は、前年に比べて約6~9割の減収だった。稼ぎどきのゴールデンウイークの月初から中旬にかけては、引き続き全国で「緊急事態宣言」が敷かれたため店舗を休業し、収入が激減。一方、14日以降の段階的な解除に従って地方店から徐々に再開し、6月1日現在では各社とも全店再開にこぎつけている。

 5月度の各社の既存店売上高は、三越伊勢丹が前年同月比90.2%減、高島屋が同63.1%減、大丸松坂屋百貨店が同71.8%減(大丸心斎橋店、大丸下関店を除く)、そごう・西武が同61.5%減、阪急阪神百貨店が同69.5%減(神戸阪急、高槻阪急を除く)だった。三越伊勢丹以外は緊急事態宣言下でも食品フロアの営業を続けた。

 首都圏での営業に関しては、高島屋が14日に玉川高島屋S・Cを再開したのを皮切りにそごう・西武が23日、大丸松坂屋百貨店が26日、三越伊勢丹が30日に再開した。阪急阪神百貨店も21日から阪急うめだ本店、阪神梅田本店など旗艦店を開けている。

 だが売上高、客数がコロナ以前の水準まで回復するには時間を要する見込みだ。伊勢丹新宿本店は、営業を再開した30、31日の土日と前年の5月末の土日を比べると、売上高は1割減、客数で3割減だった。ファッションフロアも婦人、紳士ともに前年実績を割った。

 一方、「必要最低限のものを求め、目的買いで来店されるお客さまが目立つ」(三越伊勢丹広報)。食品やリビング雑貨に加え、ファッションフロアでは子供服や紳士肌着などが買い替え需要で売れている。化粧品も基礎スキンケア用品がけん引し、店舗によっては前年同月実績を超えているという。高島屋は全店営業再開後の5日間(27日~31日)で、売上実績は前年同月比約25%減。「気温が高くなる時期に差し掛かり、快適な素材のルームウエアなどのニーズが高まっている」(同社広報)。

 規模は小さいものの、ECは引き続き好調。三越伊勢丹が5月7日に再開した「三越伊勢丹オンラインストア」は食品やライフスタイル関連商品が伸びて前年同月比40%増。阪急阪神百貨店はEC上で実施した紅茶やワインにフォーカスした催事が当たり、阪急本店のECが同約4倍、阪神本店のECも1.7倍に伸びた。両社はリアル店への集客を前提とせず、EC単体での強化を進める方針だ。

 今後は感染リスクと隣合わせの中、新常態に対応する店舗運営を模索していくことになる。阪急うめだ本店は再開(21日)以降、インバウンドを除けば売上高の減少を1割程度にとどめた。化粧品や日傘や帽子など季節雑貨が好調。「消費者は命を守る段階から暮らしを取り戻す段階に移行しており、それに対応していく」(同社広報)。そごう・西武は6月中旬には全館で時短営業を通常営業時間に戻すほか、春夏のクリアランスセールも予定する。「安心・安全を徹底して、お客様に安心してご来店頂ける方法を模索したい」(同社広報)

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