ファッション

LVMHのティファニー買収に暗雲か 不安定な米国市場に懸念

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、2019年11月に合意に至ったティファニー(TIFFANY & CO.)の買収を再考しているという。

 情報筋によると、パリ時間の6月2日夜にLVMHの経営陣が招集され、ティファニーにとって最大の市場であるアメリカの情勢悪化について話し合われたという。新型コロナウイルスによって10万人以上の命が失われただけでなく、5月25日に米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した事件による市場への影響を危惧したためとみられている。加えて、買収完了までにティファニーが借入金を返済できる体力があるかどうかについても懸念の声が上がっているという。

 2日の会議では結論は出なかったものの、経営陣は再考すべきと考えているようだ。本件についてLVMHからもティファニーからもコメントは得られなかった。6月1日に開催されたティファニーの株主総会ではLVMH傘下入りに関する変更事項は発表されていない。

 LVMHは19年11月にティファニーを1株あたり135ドル(約1万4445円)、162億ドル(約1兆7000億円)超相当で買収すると発表していた。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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