新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で不透明な状況が続いている。そんなときに、ファッションは何ができるのか。生産者から販売員まで業界全体が不安を抱えている状況に、ファッションデザイナーたちは何を思うのか。日々変化する状況に対応しながら、それでもファッションの力を信じ続けるデザイナーたちの声を連載で紹介する。今回は、2012年春夏にデビューし、ニューヨーク・ファッション・ウイークで発表を続けている「アディアム(ADEAM)」の前田華子デザイナーが登場。
ADEAM
前田華子
Q 不安が続く状況下で、ファッションデザイナーが人々にできることは?
「アディアム」は新型コロナウイルスの影響を最も受けたニューヨークにもオフィスがあるため、スタッフの健康を一番に考え、リモートワークに切り替えた。コレクション制作は少しペースを落とし、パタンナーや縫製スタッフにトルソーなどを自宅へ持ち帰ってもらいながら、進めている。このパンデミックの影響で変わってしまったことは多いが、今自分たちにできることを、一歩ずつ進めていきたい。
そういった不安な日々が続く中で、前向きな気持ちを持ち続けることは本当に大変なこと。デザイナーとして、今自分ができることは、ファッションやアートの楽しさを届けて、少しでも笑顔を増やすお手伝いをすることだと思う。この状況でも、クリエイティブなモノ作りを続けて、みなさまにも楽しんでもらえるようなことができないか、アトリエのスタッフとアイデアを出し合った。その中から生まれたのが、ぬりえと「あつまれ どうぶつの森」のゲーム内でダウンロード可能なバーチャルの洋服だった。本当にささやかな活動だが、少しでもご自宅で過ごす日々を楽しんでもらいたいという気持ちで始めた。
今後はチャリティーへの参加も計画している。次回の2021年リゾート・コレクションから、売り上げの一部を寄付する活動などの取り組みを進めるべく準備中だ。