LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が、2019年11月に合意に至ったティファニー(TIFFANY & CO.)の買収について、「公開市場での株式の買い付けは考えていない」とコメントした。ここ数日にわたってティファニー株が下落していることによってLVMHが利益を得るのではという噂を否定した形だ。詳細は明かされなかったが「市場に出回っている噂の件について検討している」と述べた。
一方で、パリ時間の6月2日夜にLVMHの経営陣が招集され、ティファニーにとって最大の市場であるアメリカの情勢悪化について話し合われた件については事実関係を認めた。
情報筋によると、新型コロナウイルスによって10万人以上の命が失われただけでなく、5月25日に米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した事件による市場への影響を危惧したためとみられている。加えて、買収完了までにティファニーが借入金を返済できる体力があるかどうかについても懸念する声が上がっているという。ティファニーの19年度の売上全体の43%をアメリカ地域(アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、チリ)が占めている。
ティファニーは6月5日に第1四半期決算を発表するとみられていたが、9日にずれ込むと明かしている。遅延の理由は明らかになっていない。同社の株価は米「WWD」が現地時間2日に報じた際に8.9%下落し、3日の終値は前日から2.4%減の114.24ドル(約1万2000円)となった。