YKK(非上場)が、2020年3月期の業績を発表した。ファスニング部門の売上高は前期比9.2%減の3021億円、営業利益は同32.5%の362億円になった。営業利益は3月に発表した見通し(324億円)を上回ったものの、営業利益が400億円を割り込むのはリーマンショックの後遺症に苦しんだ13年3月期以来7年ぶりになる。
ファスニング事業は4〜12月までは世界的なアパレル市場の低迷で、1〜3月は新型コロナウイルスにより全四半期で減収だった。YKKが高いシェアを持つジーンズ用途や欧州で強い高級雑貨用途など、全カテゴリーで苦戦した。YkKの大谷裕明社長は3月の会見で「米中貿易摩擦に伴う中国経済の減速、2年連続の暖冬による過剰在庫で、世界的にアパレル市場は低迷している」と語っており、新型コロナウイルスの影響が重くのしかかる今年度の世界のアパレル市場はさらに不透明感が増しそうだ。
なお新型コロナウイルスの影響が大きく、3月の時点で発表していた21年3月期の業績見通し(売上高3074億円、営業利益379億円)は撤回し、現時点では未公表になる。