新型コロナウイルスの感染拡大の影響で私たちは2カ月以上もの間、これまでにない制限の中で毎日を送ることになり、生活の仕方、自分にとって大切なもの、誰と何を目的にどのように働くかなどについてあらためて考える機会を得た。ファッション産業に携わる人々も例外ではなく、ビジネスの方法やクリエイションとの向き合い方、ファッションシステムの在り方を再考する必要性に直面しており、多くの人々が議論を始めている。(この記事はWWDジャパン2020年6月8日号からの抜粋に加筆しています)
6月8日発売の「WWDジャパン」では、ファッション産業に影響力を持つデザイナーやクリエイターのインタビューを通じてコロナ時代の価値基準やファッション産業の在り方を探っている。ここでは「ロエベ(LOEWE)」のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)取締役兼クリエイティブ・ディレクターと5月上旬に行ったインタビューを紹介する。取締役も務めるアンダーソンの言葉には、スタッフ全員の雇用を守り、そして職人たちの技術を守って継承するという覚悟が感じられる。
WWDジャパン(以下、WWD):ロックダウンの中では、顧客や社会、チームとのコミュニケーションがより重要だと感じる。どのようなコミュニケーションが大切だと考えるか?
ジョナサン・アンダーソン(以下、アンダーソン):顧客や社会とのコミュニケーションはより個人的で直接的である必要があると思う。「ロエベ」では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月にオンラインイベントとワークショップ“ロエベ エン カーサ”を立ち上げ、インスタグラムのライブで発信を始めた。これはブランドの核――つまり、クラフト、革新、芸術的な表現を表すもので、とても好評だからこれからも続けていこうと思っている。チームとのコミュニケーションが増えて、より建設的になっている。今は一歩下がって、新しい解決方法を検討しているところだ。皆が同じ状況下にいるので、ある種チームとの一体感が生まれやすい状況でもある。
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