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プレゼンできないモノを売るって、一体⁉︎ エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年1月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

プレゼンできないモノを売るって、一体⁉︎

 2020-21年秋冬メンズの取材のため、イタリア・フィレンツェで絶賛開催中のピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)にやってきました。クラシコイタリアからスポーツ&ストリートまで、さまざまなブランドが最新コレクションを発表するメンズの大博覧会です。︎

 多種多様なブランドがありますが、とはいえ主力は、クラシコイタリア。その多くは今なお、ラグジュアリーやデザイナーズブランドを生産面で支えるファクトリーです。元々は受け身のファクトリーだったから、きっと当初は「作りたいモノを作る」という当たり前さえ難しかっただろうし、その思いを自ら語るのは正直苦手。結果、消費者を「共感」させることは難しく、全体的には厳しいマーケットです。

 そんなマーケットでいくつかのブランドを取材していると、先方からは色と柄以外の特徴をほとんど何も伺えないブランドに結構な頻度で出合います。本国スタッフだったり、日本の代理店だったりに根掘り葉掘り聞くのですが、それ以上はなかなか出て来ない。マジで「プレゼンできる要素」がないんだろうと思います。昨日、「プレゼンできる商品」を見せてくれたブランドに話を聞いたら、「訴えるモノがないと、提案する色ってどんどん鮮やかになるんです」といいます。なるほど!ピッティの現状を的確に指摘していると思います。

 上述の通り、元来意志のあるモノを作るのが苦手だし、その発信も不得手なのは同情します。でも同時に、「プレゼンさえできないモノ」を披露して売ろうとするなんて、正直失礼だなぁとも思います。

 これは、クラシコイタリアに限らずです。多くのブランドでプレゼンできないアイテムが生まれているし、われわれメディアだって「この記事、どうして書いたんですか?」と聞かれたら答えに窮する記者や編集者は少なくないでしょう。

 ただの徒労なら、別に構いません。勝手にどうぞ。でも、形あるモノなら限られた資源を使っているワケだし、形なきモノでも相手の時間や注意を奪っているワケで、「プレゼンさえできないモノ」はゼロではなく、マイナスの価値を帯びているのです。そんなの、ソッコーやめた方が良いと思います。

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