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インバウンドは、「ボーナスステージ」だったハズ エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年1月22日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

インバウンドは、「ボーナスステージ」だったハズ

 パリメンズが終了しました。このお手紙が届く頃、僕は、帰国する飛行機の中にいるハズです。

 今回の海外出張で最後のランチは、KING-MASAさんとご一緒でした。言わずと知れたスニーカーコレクター。現在は「オールウェイズ アウト オブ ストック(ALWAYS OUT OF STOCK)」というブランドも手掛けており、ブランドとの別注企画などのため、パリメンズの期間中は大抵渡仏されているそうです。

 KING-MASAさんと聞くと、僕にはバーニーズ ニューヨークが思い浮かびます。下記の関連記事にある通り、ラグジュアリーやデザイナーズブランドの取り扱いも数多いバーニーズ ニューヨークは3年前、新宿店でKING-MASAとのコラボイベントを開催。そのニュースを聞いた時、「バーニーズが、スニーカーマニアと!!」と驚いたのを思い出すのです。

 当時の話を聞いたら、やっぱりバーニーズ社内には反対意見もあったようです。けれど結果は……、今のバーニーズを見れば分かりますよね?ラグジュアリーやデザイナーズとストリートの垣根は消滅し、今回のパリメンズでもバイヤーチームは「1017 アリクス 9SM(1017 ALYX 9SM)」や「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラノ(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」、東京を代表するパンクブランド「キディル(KIDILL)」などのショーを回っていらっしゃいました(余談ですがバーニーズのバイヤーさんは、マジでショーをちゃんと見ます。正直、頭が下がります)。KING-MASAとの取り組みが、バーニーズの新たな側面の礎になったと言っても過言ではないと思うのです。

 ところがKING-MASA曰く、そのほかのラグジュアリーやデザイナーズの世界は、やはり“壁”が高いようです。どこもスニーカーを作って、売っているにも関わらず、彼の知識、発信力、企画力、人脈などを生かそうというブランドは、正直、そんなに多くない。あまりに排他的なムードにガッカリと言うか、嫌気がさし、今は別のフィールドで勝負なさっているような印象を受けました。

 「なぜラグジュアリーやデザイナーズの世界、もっと言えば、ファッション界の多くは、今も排他的なんだろう?」。彼と、仲良しのPRとランチをしながら、そんな話をしてたどり着いた結論は、「まだ、そこそこ大きいから」でした。コレが「もう、いよいよヤバい」だったら、業界は遮二無二なって新しいことにチャレンジするでしょう。アメリカなんて、そんなカンジです。けれど現状は「まだ、そこそこ大きい」。コレが迅速な改革を阻み、業界の多様性を妨げている。ずっと薄々感じてはいましたが、KING-MASAにズバッと言われて「やっぱりな~」と痛感してしまったのです。

 でも、冷静になって。「まだ、そこそこ大きい」のは、インバウンドのおかげじゃないですか?5、6年前くらいから急激に大きくなったインバウンドについては当初、ファッションでもビューティでも業界人は皆、「ボーナスステージ」、突然訪れたイレギュラーと認識していたハズです。「いつ終わるか分からないから、ローカルにちゃんと売っていこう」、そんな意識は、今よりずっと強かったでしょう?でもイレギュラーは気付くとレギュラーになっていて、「ボーナスステージ」ではなく「主戦場」に化してしまった感があります。元来「ボーナスステージ」だったインバウンドを抜いたら、今の売上高はどうですか?遮二無二なって、新しいコトにチャレンジしなくちゃならない逼迫した状況ではありませんか?

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