※この記事は2020年1月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
最大公約数、狙うとアプリもツマラナイ
仕事柄いろんな情報系アプリをダウンロードしていますが、無論、「面白いなぁ」と思うモノと、「どうでしょうね、コレ?」と考え込んでしまうモノはあるワケです。
(悔しいけれどw)「やっぱり面白いなぁ」と思うのは、「日経電子版」と「NewsPicks」。前者は、ぶっちゃけニュースの伝え方を変えたと思うのです。最近では「イブニングスクープ」と題して、マジで独占のスクープでさえ、ウェブで、夕方19時くらいにスパーンと配信しちゃいます。ウェブの人間でありながら「ここぞのスクープは紙で!!」と意気込み、他媒体へのリリースアウトも含めてブランドと交渉してきた自分の“思い込み”は、いともたやすく棄却されました。「ビジュアルデータ」も面白いですね。クリッカブル(Clickable)な仕様で、クリックした後のモーションも楽しい。このコンテンツに触れると、「メディアとは、新たな情報を垂れ流すのみならず」と思います。情報でさえ再編集すれば、その価値は最大化・最長化できるのです。ツイッターでは、論説委員が公式アカウントでニュースをプロモートしています。読み解き方などをサジェストしてくれるのです。弊社の【編集長(デスク)の一言】というツイートや、Azuの読み解き連載は、ハッキリ言って大いに影響されました(笑)。
一方の「NewsPicks」は、ニュースの消費の仕方を変えました。ニュース本体よりも、ニュースに対するPickerのコメントがメインコンテンツになったのです。ニュースに紐づくスレッドは、個々人のニュースの咀嚼法を知るようで面白い。Pickerは、自分のコメントがどれだけ支持されたか確認しちゃうでしょうし(これでまたPVとSSを獲得するのですw)、うまい仕組みだなぁ、と思います。
一方そこそこの規模感なのに、あんまり(僕にとっては)面白くないのは、AmebaやLIMIAです(僕の場合は、です!!)。どの投稿もPVを狙っているし、アプリとしては無論PVの高いコンテンツを上位に表示するからでしょう。上がってくるコンテンツが、全部同じに見えます。PVを取るには、みんなが使っている・買えるブランドじゃないと難しい。だから多くの投稿は「ユニクロ(UNIQLO)」「GU」「MUJI」「ニトリ(NITORI)」「イケア(IKEA)」「ダイソー(DAISO)」「キャンドゥ(CANDO)」にまつわるもの。どうやら“お作法”というかトンマナもあるようで(アフィリエイトかもしれませんが)、み~んな「最後まで読んでくださって、ありがとうございます」とか言っちゃってキモチワルイ……。正直時々、「WEAR」もそんなカンジに見えています。
後者を読むたび、「やっぱ、もう最大公約数って追い求めちゃダメなんだ」って思います。多分AmebaやLIMIAは、最大公約数を獲得するにおいては、なんら間違えていない。正しいのです。でも結果は、少なくともマイノリティーを自認する僕には(苦笑)、あんまり面白くありません。アプリ1つからも、今、私たちが直面する課題が透けて見えるのです。
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