アルビオンの2020年3月期決算は、転売業者を含めた外国人売り上げの減少や増税前の駆け込み需要の反動、さらには新型コロナウィルスの影響などがあり、売上高が前期比3.5%減の662億円、営業利益が同41.5%減の79億円、純利益が同43.2%減の53億円と減収減益となった。売上高の減収は8期ぶり。
部門別では、営業本部(国内)の売上高が同6.3%減だった。チャネル別は専門店が同0.1%減、百貨店が16.1%減で、専門店が健闘した。ブランド別では「アルビオン(ALBION)」が同9.4%減、「イグニス(IGNIS)」が同9.8%減、「エレガンス(ELEGANCE)」は好調を維持して同8.6%増だった。カテゴリー別ではスキンケアの売り上げが同10.3%減、ベースメイクが同3.8%増、ポイントメイクが同2.2%増だった。シェアの高いスキンケアが前期に続き苦戦したことで全体の売り上げを押し下げた。渡辺省一・営業本部 営業企画統括部 統括部長は「主軸商品の『薬用スキンコンディショナー エッセンシャル』と同等の柱商品に育成するべく19年9月に発売した化粧液『フローラドリップ』が3月末までで約32万個を販売した。目標値は35万個だったがコロナ禍の影響がなければ達成できただろう。売り上げに貢献でき、今後にも期待できる」と述べた。
国際事業部の売上高は同7%増だった。ブランド別の売上高は「ポール & ジョー ボーテ(PAUL&JOE BEAUTE」が同1.9%増、「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(LES MERVEILLEUSES LADUREE)」が同22%減、「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」が同19.3%減、「アルビオン」が19%増となった。「『アルビオン』以外の3ブランドの免税売り上げシェアは56%。3月の売り上げの落ち込みが響いた。現在、国内の活動を見直しているところで、新製品の発売時期の延期などを決定した。また4月に海外教育部を新設し、海外での販売員教育にも注力していく」と小林勇介・常務 国際事業本部 本部長は語った。
コロナ禍の影響を受けて百貨店の1~3月度の売上高は前年同期比29.7%減。日本人売り上げが同0.7%減、訪日外国人が同64.5%減、転売者が50.3%減だった。こうした状況を踏まえて小林章一社長は、「転売業者に関しては3年前から意識的に(減らす方向で)対応策を講じてきており、ピーク時に比べ4分の1程度の売り上げとなった。下げ止まりが見えてきたがコロナ禍によりその幅が予想以上となった。今後は百貨店、専門店ともに厳しい状況が続くが、時間をかけて回復させていく」とした。また、販売にこだわってきたが緊急事態宣言により店舗休業が相次いだため期間限定でeコマースでの販売を実施した(5月で終了)。「その売り上げの一部を専門店に還元していく」と述べた。
同社は22年度から決算期を12月期に変更する。新たに22年1月から新中期計画をスタートさせる予定で、それまでの21カ月を準備期間とし、商品開発、生産、営業とあらゆる方向から巻き返しを図っていく。