ファッション

「SR」じゃないの。「CSR」なの。 エディターズレターバックナンバー

    ※この記事は2020年2月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

    「SR」じゃないの。「CSR」なの。

     CSR(Corporate Social Responsibility)、「企業の社会的責任」ってのは厄介だなぁ、と感じています。「悪いコト、やっちゃえばいいじゃん!!ウワッ、ハッ、ハッ!!」と、みなさんを悪の道に誘っているワケではありません。「CSR」を「良きコト」、でも「特別なコト」と捉えちゃっているから、「従来は日頃の企業活動にキチンと存在していた、社会的大義が見えづらくなっているのでは?」と感じているのです。

     最初に「CSRじゃ、ダメ!!」と思ったのは、2年ほど前から追い続けているインクルージョン(包摂・包括性)とダイバーシティー(多様性)をCSRの一環と捉え、結果、そんな価値観の醸成に失敗している企業を立て続けに目撃した時でした。 きっと元来はそうじゃなかったハズなのですが、私たち、「CSR」を「社会的意義を持つんだから、普段の企業活動とは違うモノ」と捉えちゃってるフシがありますよね。ゆえにインクルージョン&ダイバーシティーの推進を試みる志の高い企業は特命担当を任命しがちで、「特命」だから担当者も崇高な活動を企画しがち。すると、組織の他のメンバーは“自分ごと”化できないからイヤイヤ取り組んじゃって、企業の努力は実らない。で再び「CSRって、やっぱりメンドくさいモノ」って思っちゃうのです。

     で、いよいよ「脱『CSR』だな」って思ったのは、(またも勝手に構想・実行し始めている新連載でw)アドビの素晴らしき方にお会いしたとき。詳しくは新連載で大いに語りますが、企業活動とソーシャルグッド、そして自身の夢を上手につなげている彼女から、「もともと会社は、社会に足りないものを補うというグッド・インテンション(素晴らしき理念)に基づいているハズなのに、いつしか主たる事業では逆のことをしながら、『CSRでは良いことをしているから、許してください』と社会に媚びている気がする」との言葉を伺ったとき。「そうかもしれない!!」とヒザを打ち、「隠れ蓑にしてるくらいなら、もうCSRなんていらないよ」って思っちゃったのです。いっそCSRを意識しなくなった方が、会社の事業とソーシャル・グッドをダイレクトに結びつけようとする思考回路が活性化するのではないでしょうか?

     振り返れば、「こんなコトに取り組みました!!」というCSRを語るプレスリリースの記事化に積極的になれなかったのは、「確かにご立派なコトですが……」とは思いつつも、そこに情熱というか、体温を感じにくかったからでは?と思うのです。私たちが思うCSRって「C」の発想が欠落しているから、企業ごとの違いが存在せず、似たり寄ったり。“らしさ”が感じられず、結果、画一的ゆえ共感できないから、「記事にしてもつまんなそう」って思っちゃっていたのでしょう。「C」の発想がより強ければ、活動は企業ごとに異なるだろうし、血が通うから“らしさ”が現れ、僕にとっても面白く見えるのかも?そんな風に思います。

     皆さん、今のCSR、改めて「C」にフォーカスしながら再設計してはいかがでしょうか?もしくは、いっそ「CSR」を考えることをやめちゃうか?企業活動がソーシャルグッドとリンクすれば、それが一番。その暁には、CSRなんて、特別意識しなくて良くなっているハズです。

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