日本発の老舗スニーカーブランド「ムーンスター」が“コミュニティーブランド”へと進化

猪山渡
ムーンスター社長

新型コロナウイルスの影響で、当たり前のようにお店で靴を買い求めていただいていた日常が変わりつつある。今後求められる新しいライフスタイルに対応し、お客さまとの接点を維持していくため、SNSなどを通じて情報発信と、実店舗へお越しいただけるようオムニチャネルマーケティングをさらに強化していく。また時代と共に変わってゆく消費者のニーズに応えられるよう、全ての世代のお客さまにわくわくしていただけるような靴をお届けし続けたい。そして、「ムーンスター」を日本だけでなく世界で通用するブランドにしていけるよう、成長させていく。

宝蔵寺誠
ライフスタイルマーケティング部 ライフスタイル企画課 課長

ムーンスターの強みについて、社内のさまざまな役割の人たちから話を聞いてみると“使われてこそ価値のあるものを生み出したい”という共通の思いを持っていた。僕らの靴はスニーカーマーケットのメインストリームではなく、主役になるよりも履いている人を引き立てるような存在でありたいと思っている。今までは販売してくれる得意先にブランドとして育ててきてもらったので、これからは旗艦店「オルソー ムーンスター」とオウンドメディア「インユース」をユーザー、得意先、ムーンスターが交流できる場として設け、自分たちからも発信しつつ、ムーンスターだからできることに挑戦していきたい。

松永健太
ライフスタイルマーケティング部 ライフスタイル企画課

7年前の140周年をきっかけに社名の「ムーンスター」という名前で商品を企画した。「ムーンスター」をブランドとして認識、評価してもらうことが、会社の直接的な信頼に繋がり、また100年近く前からヴァルカナイズスニーカーを作っている久留米工場の生産背景を伝えることで「ムーンスター」を知ってもらうきっかけになると考えた。当社は事務所と工場が隣接しているので、新しいチャレンジや細かな作り込みが可能で、ワークシューズや学生用の靴を手掛けていることからクオリティの基準も高い。久留米工場では職人が手間を省かず、受け継がれた技術で自信をもって靴を作っている。流行のかっこいい靴は他のブランドに任せて、使ってもらう人の普段履きとして、履きつぶしたら何度でも買い直してもらえるような靴になったらうれしい。

ムーンスターが掲げるブランドメッセージは、「使われてこそ価値のあるものを作りたい」という思い。続けて、「選ぶときより、買うときより、使っているときが、いちばんきもちいい。ふと気づくと、お気に入りになっている。大切に使い続けていることが心地よくて、なんだか誇らしい気持ちにさえなっていく。そんな、使うことで感じる幸せを作れたらと思います」とつづっている。

福岡県久留米市の自社工場で生産させるヴァルカナイズ製法の靴は、同社の147年の歴史で培ってきた技術が詰め込まれている。ヴァルカナイズ製法は、ソールがしなやかでやわらかく、丈夫で壊れにくく、美しいシルエットが保つことができる製法。また、熟練の職人による手仕事で生み出される、精巧な作りのよさが魅力になっている。

　その評判は国内外にも広がり、世界のデザイナーからラブコールを受けている。これまでに「フェンディ（FENDI）」や「マーガレット・ハウエル（MARGARET HOWELL）」「3.1 フィリップ リム（3.1 PHILLIP LIM）」などブランドとのコラボレーションも行ってきた。