今、世界各地へと広がりを見せるBLM(Black Lives Matter=黒人の命は大切)運動はすでに始まっていたものであり、今後も続いていくべきものである。長年、公民権運動史研究で多くの業績を残している藤永康政教授にBLM運動の背景や特筆すべき点、そして私たちがこの運動にどう向き合うべきかを聞いた。(この記事はWWDジャパン2020年6月15日号からの抜粋に加筆したものです)
WWD:今回のBLM運動の背景は?
藤永教授:まずBLMについて説明します。2012年2月、フロリダ州で、当時17歳の高校生、トレイヴォン・マーティン君が自警団員から射殺されるという事件が起きました。自警団員は第2級殺人で起訴されるのですが、陪審員が無罪の評決を下しました。このとき、カリフォルニア州に住むアリシア・ガーザという黒人女性が、black lives matterと記した投稿をfacebookで行います。この投稿に、二人の黒人がまず反応し、最初の組織がネット上に生まれました。その後、同様の問題を扱う投稿には#blacklivesmatterというハッシュタグが付され、それが秘かに広まっていきました。
このタグを一気に有名にしたのが、2014年夏にミズーリ州で起きたマイケル・ブラウン君殺害に抗議する激しく長い運動です。この直後より、BLMを名乗る団体が全米各地で誕生し、青年たちはその後も相互に連絡を取り、黒人が直面している諸問題を学ぶワークショップを開催していきました。
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