高島屋は、投資信託など金融商品の販売や資産形成の相談に対応する「ファイナンシャルサービス事業」を開始した。17日、日本橋高島屋S.C.本館8階に設けた専用カウンターで受付を始めた。他の基幹店にも順次拡大を予定する。子会社の高島屋ファイナンシャルパートナーズがSBI証券と業務提携して事業を運営し、同社が取り扱う2600以上の金融商品を取りそろえる。百貨店事業で培った顧客基盤や外商との連携などメリットを生かし、きめ細やかなサービスで他社の金融サービスと差別化する。
同日には報道陣向けに内覧会が行われた。受付カウンターにはファイナンシャルアドバイザーの専門資格を有したスタッフ数人が常駐し、資産形成相談から金融商品の紹介、遺言信託までトータルでサポートする。なお新型コロナウイルス対策の観点からカウンターには飛沫感染防止用の透明板が取り付けられ、スタッフは当面の間マスク着用で応対する。また同社のウェブサイト上でも証券口座の開設や投資信託取引ができるサービスを開始した。
高島屋の村田善郎社長は「(金融機関や証券会社など)他と同様のサービスではレッドオーシャンに飛び込むことになる。それぞれのお客さまに寄り添い、小回りの利く金融サービスを武器に、百貨店を利用するお客さまのニーズを拾い上げていきたい」と話す。他にはない強みとして「顧客のニーズ合わせたオーダーメード型の金融商品の提案」「販売後の丹念なフォローアップ」「土日も相談可能な窓口」などを挙げる。7月中旬には同社のクレジットカード「タカシマヤカード」を利用して投信の積立購入ができるサービスも導入予定で、継続期間に応じて還元率が高くなる仕組み。
金融サービスをフックに、同社全体の経営課題である若年層の取り込みも視野に入れる。金融商品の中でもハードルが低い「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」を用意する。日本橋高島屋S.C.本館4階には、ファイナンシャルサービス専用のセミナールームを設置し、30代後半~40代をメインターゲットに「はじめての資産運用」「家計の見直し」などをテーマとした講座を定期開催する。
なお高島屋は今年3月、クレジットカード事業子会社の高島屋クレジットと保険代理業の高島屋保険を統合し、高島屋ファイナンシャルパートナーズを発足した。高島屋の20年2月期連結営業利益(255億円)のうち、金融セグメントの営業利益は48億円。これにファイナンシャルサービス事業を加えて、「ゆくゆくは100億円規模を目指す」(村田社長)。