ファッション
連載 働くママのざっくばらん“本音”トーク

ファッション・ビューティ業界で働くママたちの在宅ワーク 「本当にきつかった」でも「以前には戻れない」覆面本音トーク

 新型コロナウイルス感染拡大から緊急事態宣言を受け、多くの働くママ・パパはてんやわんやだったのではないでしょうか。子どもが家に居ながら、仕事もこなす。その状況は想像よりも大変です。緊急事態宣言が解除になった今も、子どもたちの学校などは分散登校や時短授業などで新しい学校生活がスタートしていますが元通りとはいきません。今回、緊急事態宣言中に、ファッション・ビューティ業界で働くママたちと覆面座談会を敢行。座談会中、子どもたちが乱入しながらもさまざまな本音のトークが繰り広げられました。在宅ワークのママたちの現状とはーー。

Aさん:海外ビューティブランドPR&コミュニケーションディレクター。家族構成は夫と小学2年生の娘、4歳の保育園年中の男の子。緊急事態宣言中は在宅勤務

Bさん:国産ビューティブランドPR。家族構成は夫と小学3年の息子。緊急事態宣言中は週1出勤

Cさん:ファッション系PR会社シニアマネージャー。家族構成は夫と小学4年の息子、保育園年中の娘。緊急事態宣言中は週1出勤

Dさん:セレクトショップ広報。家族構成は夫と保育園年長の娘、年少の息子。緊急事態宣言中は在宅勤務

WWD:家族構成は夫と中学1年の息子、小学3年の娘

WWD:急にリモートワークになったと思いますが、実際どうでしょうか?メリットはありますか?

Aさん:会社に行っていると、子どもたちのお迎えがあり、時間に制限があったので今はバタバタしなくてよくなったのは良かったです。あとは、これまで時短勤務の私の方が家事はメインでやっていたんですが、夫も今は在宅なので分担してやっています。今までの私の一番のストレスが料理だったので、それを夫がやってくれるのはストレスがなくなりました。絆も深まりましたし。ただ、緊急事態宣言が発令されて、子どももずっと自宅にいるとやっぱりストレスフルですよね(笑)。

Bさん:家だと電話もかかってこないですし、資料を作ったりというのは在宅の方が集中できますね。Aさんと同じように、夕方は焦って汗をかきながら子どものお迎えに行ってたんですけど、おしりの焦りがなくなったのはよかったなあと思います。あと、料理を作るのが好きなので、朝晩の品数は増えたかなあ。リモート前は、朝なんかはパン焼いて、ソーセージ焼いて、「早く、早く、早く」って「早く」を100回ぐらい言ってたんですけど(笑)。今は急がなくていいのでいいですね。

Dさん:急がなくていいっていうの分かります。メリットはやっぱり通勤の往復2時間が掛からないってことですよね。これまでは、週末に1週間分の食料の買い出しと、掃除で疲れてしまってたんですけど、平日にできるのはいいです。それに今まで週末は、月曜日のこと考えて遊びもそこそこだったけど、考えないで遊べる。週末の充実感ってあるなあと。

Cさん:同じです!おしりの焦りがなくなりました。ただ、職種的に電話がよく来るんですが、子どもが声を出した時に、「子どもがいて……」で済ませられる相手だといいんですが、済まされない相手だと困ります。本当に集中したいときや、邪魔されたくないときは、ネットフリックス(NETFLIX)とアマゾンプライム・ビデオ(AMAZON PRIME VIDEO)に頼っててテレビや映画を見せたりしてますね(笑)。申し訳ないですが、日中は、子どもとフェイス・トゥ・フェイスでも生返事になっちゃいます。あと、小学校に週1行くんですが、まあまあ宿題をもらってくるので。それがいつまで続くんだろう?とは思います。

子どもの勉強問題で親の責任重大に

WWD:分かります。普通だったら、学校の宿題って学校で習ったことの復習だから、子どもに任せてますけど、学校に行ってないから宿題って言っても、親が見ないといけない……。家にいても仕事をしてる訳で、その時間を確保するのは大変だなと。

Bさん:相手できないですよね。やっぱり子どもの勉強はストレスですね。おっしゃるように、親が見ないといけないですし。学校からも「するように」と指示をされていますからねえ。ほかの学校に通う子どもを持つママ友によると、「休校中に出た宿題も成績に加味します」って言われたらしんですよ。

全員:えーーー。怖い……。

Bさん:そうなると、回答が○になるまで何度もやらせないといけないじゃないですか。親の負担が半端なくて。習い事も、ピアノと公文やってるんですけどピアノはZoomで、結局練習も付きっ切りでやらないといけないし、日々のタスクを子どもにさせるのに、親がすごく労力を使わないといけないっていうのはありますよね。ただ反面、この子、こういうこと知らなかったんだ、とかが分かったのは良かったですね。

Aさん:習得のために、監視するという不毛な時間がありますよね。うちも上の子は小2でお勉強をしてもらわないといけないけど、そうすると下の子が何もすることがなくなっちゃって。お姉ちゃんの邪魔をしたりとか。私も、子どもに邪魔されるストレスがあって、仕事したいのにって。

それである時、すっごいストレスが溜まりすぎて怒鳴り散らして、「私無理」ってなって。夫と話して、一人の時間を持つことも大事だねって。それって小さいことでもよくて、スーパーに一人で行くとか。子どもたちも一緒にいると喧嘩になるので、娘だけ連れて、もしくは息子だけ連れて買い物行くとか。そういう時間を作らないと煮詰まっちゃうなあと。

ある日、子どもから「今日、お母さん、一度も怒ってないね」って言われて。今の私は怒ってばかりだから……。なかなか難しいですよね。

WWD:どう対応していいか分からないなあって思いますよね。

Bさん:学校がない分、親がどうしたかで子供が変わるだろうなと思うので、責任と重みを感じています。

WWD:小学校に上がったお子さんがいる家庭は、勉強問題がかなりあったでしょうね。小さいお子さんがいるDさんはいかがですか?

Dさん:子供が小さいので親に長時間、ほっとかれると気を引きたくて嫌なことをするんです。些細なことなんですけど、手をつねったり、パソコンを叩いたり、物を落としたりとか。それが重なると、心身ともにストレスフルになるというか。ただ、うちは年長と年少で歳が近ので2人で遊んでくれるからまだいいですけど、家のお隣さんなんかは、3歳と生まれたばかりの子がいて、赤ちゃんの面倒を見ながら仕事をするのは大変だなあって思います。

Cさん:リモート中は、家にいるけど働かないといけないから。子どもの相手できないですよね。個人的には、運動量が圧倒的に足りなくて太ったなあと。散歩っていってもたかがしれてますし。そういう感じだから、週1仕事に行くと、ものすごく疲れちゃって……。これ週5日には戻れないかもって思っちゃいますね(笑)。フルフル働いて、帰ってきて炊事洗濯、掃除と考えると。出来ないかも。

全員:分かります。週5日会社行くのはもうきついですよね……。

オンラインで夜でも友だちと話してストレス解消

WWD:その辺のストレス解消法はどうしてますか?

Bさん:Zoom飲みするのがストレス解消!

Cさん:いいな〜。まだデビューしてないんですよね。

Aさん:Zoom飲みいいですよね。普段は、夜とか飲み会とか行けなかったですから。

Bさん:海外の友達とこの前Zoom飲みしたんですけど、「なんだ、こんなに簡単だったんだ。会わなくてもいいね」って。すぐそこにいるような感じで話ができるのでいいよねって。

Cさん:私は、やっぱりビール飲んでゆっくりするとか。あと結構、寝てますね(笑)。移動しない分、平日もしっかり睡眠取れるようになりました。

Dさん:ストレスそんなにないんですけど。これまでユーチューブはあんまり見たことなかったんですけど、今、すごいお世話になってて。ヨガのチャンネルとか完成度が高くて、朝と寝る前にむちゃくちゃやってます。スタジオに行かなくてもいいのかなと思ぐらいです。

あと、洗濯が楽しい。会社に行ってるころは、外に干せないから浴室乾燥にしていたけど、すごくいい天気の日に、洗濯物をたくさん干すと洗濯物が喜んでいる感じがしてそれが意外にストレス解消になりますね。9時ぐらいに干して11時には乾く。その開放感が気持ちいいです。

WWD:ベランダでご飯を食べたりすると、ちゃんと日光に当たるって気持ちいいなあって思えますよね。ではリモートでの仕事はどうですか?

Dさん:今、就業時間が9〜16時(時短)なんですけど、一応、その時間で働いてくださいということになっているんです。でも15時50分ぐらいに「この資料作ってください」って指示が来て、翌朝の9時過ぎにはその資料を提出することがあります。明らかに就業時間内にやっていないことはみんな分かっていると思うんですけど、黙認してもらってます。部署は子どもがいる人が多いので、日中、子どもの面倒を見ながら仕事は不可能だとみんな分かってくれています。ありがたいなあと思います。

WWD:なるほどです。今後は、こうやって子どもが家にいて働くという状態になってくると就業時間ではない働き方が認められていくようになりそうですね。

Aさん:弊社は、コロナの前から、共有をしっかりしましょうって上司から言われていたので。それが苦手だった人も、こういう状況で共有をしっかりしてくれるようになり仕事はやりやすいですよね。みんなが意識できるようになったと思います。

今回のことで旦那の会社が緊急事態宣言解除後も在宅勤務を基本とすることになったんです。それを機に、私は逆にフルタイム勤務に戻すことにしました。今まで時短で、色々と悔しかった……。旦那が基本家にいることで、私が18時に必ずしも毎日保育園のお迎えに行かなくてよくなったのでフルタイムに戻しました。

3月にすぐに在宅勤務を可能となり、解除後も100%出社にはしないとしているので、フルタイムにできて涙が出るくらい嬉しかったですし、ライフスタイルが変わるきっかけになったと思います。

Bさん:コロナ禍で最初は、在宅勤務の推進だったのが、途中からノートパソコンが対応されたり、在宅勤務がしやすい環境が整いました。ただ、情報共有に課題があるなと思っています。

不便と思うのは、他部署の人に確認するのに、メールしか手段がないのはきついなと思っています。付き合いがある人とはライン、電話番号を交換していますが、全然知らない人もいるので。他部署の人と連絡取るのに、個人の電話はNGな場合があって。メールのみ。誰でも気軽に電話やチャットでつながれたらといいなと思います。電話で話した方が話が円滑に進むこともありますよね。

Dさん:弊社も電話ではなく、メールのやりとりなんです。でも、言葉のコミュニケーションが上手い人と、メールでのコミュニケーションが上手い人は別だと思うんですよね。メールでやりとりすると、この人何言ってるんだろう?と思うことがあって。メールだけだと、どんどんトンチンカンな方向に行っちゃう(笑)。

あとは、出社しないことで会社の情報が入りづらくて、いろいろ相談されても判断が自分でできないことが増えていると思います。

Cさん:私は、ミーティングがリモートでできるのはいいなと思って。今までは、クライアント先への行き帰りだけでも大変でしたが、今はそれがないので。なので、逆にミーティングがめちゃくちゃ入って……。19時半から会議と言われると正直、辛いなあと思う。1時間以上のミーティング2本続けたら、家庭が崩壊しそうになります(笑)

WWD:私のためにズラしてとは言いずらかったりしますよね。やっぱりコミュニケーションなんでしょうか?

Bさん:なので以前に比べて、CCに人を入れるようになりましたね。ここまで進んでいるよと教えるためにも。働いてます、アピールもしたりして(笑)

全員:重要、重要(笑)

子どもの手が戦力の一つ

WWD:通勤時間がなくなったとはいえ、子どもがいると時間に追われる生活は変わらないですよね。時短テクってありますか?

Aさん:これまでは会社に行かなければいけないことで、自分でやった方が早いと思ってお手伝いとかさせてなかったんですね。今は時間があるので、「テーブル拭くのはお姉ちゃんの仕事だよ、箸を片付けるのは息子の仕事だよ」とか。お手伝いさせることで、自分も楽になっていて時短になっているかも。

Bさん:うちも、子どもがお手伝いするのが当たり前になりましたね。一つの戦力になりました。

あとは、仕事をしながら家事もできるので、煮込んでいる間に仕事もするとか。仕事と家事を同じ時間軸でできるのはいいですね。よくないかもしれないけど、ずっと家にいて3食作らなくちゃいけないので、お惣菜を買ってくるとか、そういうことに罪悪感が逆になくなったと思います。バランスが取れるようになったなあと。

Cさん:うちの子は、朝、洗濯物を干すのと夕方のお風呂の掃除がお兄ちゃんの仕事。ベランダの植物の水やりが下の子。あなたの仕事よ、とするとそれをきちんとやってくれます。これでも少し楽になりました。

Dさん:食器を運んでもらったり、着替えも自分でやるとか。みなさんと同じように、これまで平日の朝は時間がないので、無理やり親がやっていたところ、自主的にやってもらえるようになったのでよかったです。

結果的に時短になったのは、朝食の後すぐに、昼食と夕食も一緒に作っちゃうんです。朝はまだ体力があるので集中してまとめて作っちゃうと楽だし短い時間でハイパフォーマンスなモノが作れると思いました。これまでは夕方、くたくたで帰ってきてから、夕飯を作りながら相手をしながらってなってたから。今は、夕方仕事が終わったら、散歩に行って、帰ってきて、お風呂に入れて、7時ぐらいからビール飲みながら、全員そろって夕飯食べる。そういうところを楽しんでるかなと思います。

WWD:みなさん、リモートワーク中に買ったものはありますか?

Aさん:時間があって片付けをするようになって、家具を買いました。

Cさん:ワンタッチ式テントを買ってみました。キャンプを想定して、無駄に窓開けて少し寒くしてみるとか(笑)非日常を味わえるみたいで子どもたちは喜んでます。

Bさん:緊急事態宣言中は公園にも行けなかったので、軽い、グローブ・バット・ボールのセットを買って運動したり、掃除に行き届くようになって「うちの絨毯こんなに汚かったけ?」と思って買い換えたり。あとは「あつまれ動物の森」ソフトを買って家族みんなではまっていますね。

Dさん:子どものおもちゃですかねえ。100均の水鉄砲とかから、ちょっと高いブロックとか。アマゾンプライム会員で、テレビで見られるようにするアマゾン・ファイヤー・スティックがすごくて!5000円ぐらいなんですけど、本当になんでも見られる。魔法のよう。夫も私も仕事で煮詰まっている時なんかは、「ドラえもん」とか見せてます。あとはトランポリン。本来の目的である「飛ぶ」という行為ではなく、子どもたちの格好のおままごとの場所になってしまいましたが(笑)。

 緊急事態宣言解除後、徐々に社会活動が復活してきており座談会参加者の4人も週1〜3日の出勤と在宅勤務となり、子どもたちは学校や保育園が始まりました。みなさん、「緊急事態宣言下は、夫、子どもたちが家にいながらの在宅勤務は本当に辛かった」と言います。宣言解除後、子どもたちが学校・保育園に行くことで、「仕事に集中できるようになった」「子どもたちもストレスが発散されていると感じる」という声が聞かれました。ニュー・ノーマルを模索する中で、今回のリモート勤務は働くママだけでなく、全ての働く人たちにとってライフ・ワーク・バランスを見直すきっかけになったのではないでしょうか。

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