ファーストリテイリングは6月19日、新しいグローバル旗艦店となる「ユニクロ トウキョウ」を東京・銀座にオープンした。通常は開店直前に行うテープカットセレモニーだが、状況を勘案して1時間前倒して開催。同店アンバサダーを務める歌舞伎役者の市川海老蔵や建物オーナーの読売新聞グループ本社の山口寿一社長を招き、柳井正会長兼社長と、新店を率いる工藤隆治「ユニクロ トウキョウ」店長がテープカットを行った。
柳井会長はセレモニーで、「いよいよ『ユニクロ トウキョウ』が銀座にできます。これは、われわれユニクロの世界最先端のお店です。残念ながら今、日本、東京、銀座、元気がありません。これを起爆剤に元気にしていたただきたい、ゆっくりみなさまに楽しんでいただきたい。特に今日来られているお客さまは“エアリズム”のマスクをお求めだと思いますが、残念ながら全国で売ります(笑)。50万点しかありませんが、毎週50万点ずつはいってきますので、お買い求めいただきたいと思いますし、できたら、1年間買っていただければ。ユニクロトウキョウを、ぜひご愛顧いただき、お楽しみください」と挨拶した。
山口読売社長は「昨日、柳井社長に1階から4階までご案内いただいた。大変すばらしい店舗で感銘を受けました。店内隅々までさまざまな工夫や仕掛けがあり、お客さまを楽しませてくださることと思います。商品に関して、ユニクロの商品は常に進化させていこう、最先端を切り開こうという強い意志が感じられますし、全体に非常に発信力がある。しかも、一方的ではなく、コミュニケーションを呼び覚ますような、そういう力のあるお店だと感じました。店内のあちこちに銀座に関するうんちくがありまして、『空也のもなか』が上野から銀座に来たというような勉強になることも書いてあります。今、コロナで、銀座も日本も苦しんでおりますが、このユニクロトウキョウが力強いきっかけとなって銀座全体を盛り上げていくことを心よりお願い申し上げます」と語った。
さらに、市川海老蔵は「本日はアンバサダーとしてお招きいただき誠にありがとうございます。このユニクロトウキョウがオープンできますこと、本当におめでたいことと思います。日本は今、本当に厳しい状況の中、『ユニクロ トウキョウ』が銀座という街にオープンします。私も本来今頃は、向こうのほう(東銀座の歌舞伎座)で團十郎白猿を襲名しているはずでしたが、延期になっており、銀座自体も東京も日本も世界も明るい話題が少ない中で、このようにオープンできることで、光の兆しが見えた感じがいたします。私も店内を拝見させていただきましたが、すばらしいです。さまざまなキャラクターがTシャツになっていたり、いろいろなデザイナーの方々とコラボレーションされた作品がたくさんあったり、大人も子どもも楽しめるような場所があって、またいつか今度、私も息子と娘を連れてここで遊ばせていただきたいと思う次第でございます。私も今後とも微力ながらアンバサダーとしてお力になれればなと思うので、引き続き、よろしくお願い申し上げます」と祝辞を述べた。
セレモニー後にはすでに300人近い行列ができていたため、10時の開店時間を早めてオープン。“エアリズム”マスクを求める人々、東レと組んで開発した“エアリズム”のプレゼンテーションを楽しむ人々、リノベーションを手がけたヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)の内装建築を撮影する人々、キッズコーナーでお絵描きを楽しむ親子、帰りがけに花束を買っていく人々など、思い思いにユニクロトウキョウを楽しんでいた。
松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)