イタリアの大手アイウエア企業マルコリン(MARCOLIN)は、新しい最高経営責任者(CEO)兼ゼネラルマネジャーにファブリッツィオ・クルチ(Fabrizio Curci)氏が6月22日付で就任すると発表した。4月に退任してベネトン(BENETTON)のCEOとなったマッシモ・レノン(Massimo Renon)前CEOの後任だ。
クルチ新CEOは、イタリアのボッコーニ(BOCCONI)大学の出身。前職はイタリアを中心に世界で展示会等を運営しているフィエラ ミラノ(FIERA MILANO)のCEO兼ゼネラルマネジャーで、同社はミラノで開かれる世界最大級のアイウエア国際展「ミド(MIDO)」も手掛けている。それ以前は、オリベッティ(OLIVETTI)やフィアット・クライスラー・オートモービルズグループ(FIAT CHRYSLER AUTOMOBILIES GROUP)などで長年キャリアを積み、昨年は“イタリア共和国功労勲章 カヴァリエーレ章“を受章した。クルチ新CEOは「クラフツマンシップによる素晴らしいモノ作りを育むアイウエア業界に入り、マルコリンのマネジメントチームを率いることをうれしく、また誇らしく思う。私にとって、エキサイティングな旅になるだろう」とコメントした。
マルコリングループのヴィットリオ・レヴィ(Vittorio Levi)=会長は「クルチ氏の下、われわれは新しい成長のフェーズに入る。彼は、これまでさまざまな業界で国際的に重要な役割を果たしてきた経験豊かなキャリアの持ち主だ。マルコリンにおいても継続的な変革とアイウエア業界における国際的なリーダーシップを構築する手腕を発揮してくれるだろう」と期待を示した。
マルコリンは、「トム フォード(TOM FORD)」「モンクレール(MONCLER)」「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」など約30のライセンスブランドを手掛けており、2018年12月期の売上高は4億8200万ユーロ(約570億円)、19年は1400万本のアイウエアを販売した。12年にペイパートナーズ(PAI PARTNERS)が、トッズ・グループ(TOD’S GROUP)」のディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)会長とアンドレア・デッラ・ヴァッレ(Andrea Della Valle)副会長兄弟らを含む複数の株主からマルコリンの株を取得して全体の72%を所有しているほか、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が10%、マルコリンファミリーも一部保有している。
マルコリンはこの2年の間、「バリー(BALLY)」「アディダス(ADIDAS)」「スポーツマックス(SPORTMAX)」「マックス アンド コー(MAX&CO.)」のほか、スウォッチグループ(SWATCH GROUP)の「ロンジン(LONGZINES)」と「オメガ(OMEGA)」、さらにビーエムダブリュー(BMW)グループともライセンス契約を締結するなど、時計や自動車にもブランドポートフォリオを広げている。
近年、世界のアイウエア業界はケリング(KERING)による傘下ブランドのアイウエア内製化、ルックスオティカ(LUXOTTICA)とエシロール(ESSILOR)の合併、マルコリンとLVMHによる合弁会社ティリオス(THELIOS)の設立など劇的な変化を見せており、業界地図が様変わりしている。マルコリンもライセンスビジネスを拡大する一方、13年には「ゲス(GUESS)」「ハーレーダビッドソン(HARLEY-DAVIDSON)」「スケッチャーズ(SKECHERS)」などを手掛けるアメリカのアイウエア企業ヴィヴァ インターナショナル(VIVA INTERNATIONAL)を買収するなど年々、成長を遂げている。