ユニリーバ(UNILEVER)はスキンケア製品における“ホワイト”や“ホワイトニング”といった名称を使うことを廃止する。また、インドを中心にアジアで展開する「フェア&ラブリー(FAIR & LOVELY)」のブランド名も数カ月以内に変更するという。
「ダヴ(DOVE)」「ポンズ(POND'S)」「ヴァセリン(VASELINE)」などを手掛ける同社はより「多様なビューティの価値観」を発信したいとして、全製品から“フェア”“フェアネス””ライト”“ライトニング”といった美白に関する言葉の使用もやめる。サニー・ジェイン(Sunny Jain)=ユニリーバ ビューティ&パーソナルケア プレジデントは、「われわれはあらゆる肌色に対応し、多様性を受け入れるグローバルなブランドポートフォリオを築くことに力を入れている。“フェア”や“ホワイト”といった言葉は、偏った美の価値観に準じている(可能性がある)ことを認識している。健康的な肌に導くことを発信するべく、製品に使う言葉を見直す必要があると考えた」と話す。
「フェア&ラブリー」に関しては、すでに東南アジアで広告やプロモーション、パッケージを変更しているという。「コミュニケーション方法を見直し、これからはさまざまな肌トーンの女性をモデルに起用する。過去の広告の中には多様性への配慮が欠けるものも存在するが、それらは今のブランドの価値観とは異なる。今後は肌の色に関係なく、美しく艶やかな肌に導くスキンケアブランドでありたい」とジェイン=プレジデント。
同ブランドは2014年から女性のエンパワーメントを打ち出すプロモーションにシフトし、19年からは(美白の効果をうたう)ビフォー・アフターの写真の使用を中止している。フェイスクリームはインドで最も売れているホワイトニングクリームとされており、そのほかBBクリームや洗顔などをそろえている。同社は製品を肌の“漂白”を行うものではなく、ビタミンB3やグリセリン、日焼け止め材などを配合して肌を守るものだと主張する。なお、新しいブランド名は法的に認められ次第、発表する予定だ。
また、先日同じく化粧品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(JOHNSON & JOHNSON)が美白効果があるとされてきた化粧品の販売を中止すると発表した。これを受け、日本では美白製品は「白人に憧れて求めているとは限らない」といった困惑の声がSNSで集まっている。一方で東南アジアなどでは肌の漂白をするような粗悪な美白製品が出回っており、問題視されている。