ファッション産業の透明性を推進するファッションレボリューションジャパンは6月27日、“ヘルシーなファッションを考える”と題したウェビナーを開催した。同イベントは毎年4月のファッションレボリューションデーに合わせて開催されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期となっていたもの。全体は2部構成で約150人が参加し、うち30%を学生が占めた。
第1部は、小出大二朗・豊島オーガビッツプロデューサー、池村祐子レンチングファイバーズジャパンマーケティング事業開発マネージャー、菅原潤一スパイバー取締執行役兼執行役が、「これからの“よい”素材とは何か」をテーマにトークセッションを行った。
小出氏は豊島が2005年から取り組むオーガニックコットンプロジェクト「オーガビッツ(ORGABITS)」や、「コンバース(CONVERSE)」とのコラボで話題になった廃棄食料を染料に活用するプロジェクト「フードテキスタイル」などについて紹介し、「これまでの洋服はデザインなどの見える部分だけが注目されていた。しかし現在の消費者は素材の生産工程も含めた背景に注目している」と指摘した。菅原氏は「これからの時代のよい素材とは機能性、コスト、環境性能の3軸を満たすものだろう。社内でもレンチンググループの“テンセル”素材は評価が高い。今後はお互いの知見を合わせながら協働してさらによい素材の開発を目指したい」とコメントした。
第2部は松島倫明「ワイアード(WIRED)」日本版(コンデナスト・ジャパン)編集長、千原徹也れもんらいふアートディレクター、文化人類学者の辻信一氏という全くフィールドの異なる3人が、これからの服の役割やテクノロジーとクリエイティビティの可能性などについて語った。
イベントの最後には小泉進次郎・環境大臣がビデオメッセージで登場。「新型コロナウイルスで大きな経済的打撃を受けたいま、環境省は脱炭素社会、循環型社会、地方分散型社会へ移行し、経済の再設計を目指す。ファッション業界の皆さまが変わることでその動きは加速していくと確信している。環境省はファッションを愛する皆さまと一緒に経済社会の再設計を成し遂げたい」と語った。