「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」は、藤原ヒロシの「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」との第2弾となるコラボレーションモデル“タグ・ホイヤー × フラグメント デザイン キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ”を7月下旬に500本限定で発売する。価格は66万円。今回ベースにしたのは1960~70年代の“フォーミュラ1”コレクションに使用されている“Cケース”だ。ケースサイズは44㎜と、“ホイヤー カレラ”をベースに仕上げた前回モデルの39㎜に比べて大きめだが、前回同様、ビンテージウオッチからインスピレーションを得て藤原流に再解釈した。2018年に第1弾コラボモデルを発売した際には、店頭にブランド史上初の行列ができ、ショーケースに並ぶ前に完売してしまうなど歴史的な反響があったという。完売必至の第2弾コラボの製作背景を藤原に聞いた。なお、取材は5月の緊急事態宣言下にリモートで実施している。
WWD:前回は1963年の“ホイヤー カレラ”のオリジナルモデルをベースにしていましたが、今回は?
藤原ヒロシ(以下、藤原):前回は僕のワガママというか、小さいサイズ(39㎜)をケースから作ってもらいました。そのときに、次回は大きいモデルを作るという約束だったので、今回は既存モデルをカスタマイズしていったんです。最初に指定されたモデルがいくつかあり、その中から僕が選んだのが“フォーミュラ1”コレクションの“Cケース”(44㎜)というモデルでした。ケースはそれを流用して、中身のフェースのデザインを変えていった感じです。
WWD:具体的にはどこを変えたのですか?
藤原:クロノグラフが2つのモデルは、現行では販売していないのですが、「タグ・ホイヤー」のビンテージのモデルではあるんですね。そこからインスピレーションを得て、よりスポーツビンテージ風にしました。オリジナルモデルと見比べると、違いがはっきり分かると思います。
WWD:前回はレザーストラップとNATOストラップでした。今回スチールブレスレットを採用した理由は?
藤原:僕はこういうジュビリーブレスというビンテージっぽいブレスが好きなので、実は前回もスチールブレスを付けたかったのですが、時間がなく実現しなかったんです。今回は前回できなったことをやらせてもらいました。
WWD:デザイン面でもっともこだわった部分はどこですか?
藤原:ブレスレットと全体のスポーツビンテージみたいな感覚です。でも本当のビンテージにはならないように、例えば裏ぶたを赤いサファイアにしたりすることで、(オリジナルモデルが発売した)60年代の未来というか、ビンテージの近未来というか、現代風にアレンジしました。
WWD:その微妙なニュアンスはどのようにして表現するのですか?
藤原:「タグ・ホイヤー」もそうだし、時計はテクノロジーなのでそもそも近代的なものじゃないですか。どんどん新しくなっていくものの針を少し逆に戻す……そういう感覚は、僕の得意分野かも知れません。
WWD:あらためて、実物を見た感想を教えてください。
藤原:イメージ通り、きれいに仕上がりました。サイズ以外は前回同様、自由にやらせてもらい、僕が「イラストレーター」で書いたデザインを忠実に再現してもらいました。僕は大きいサイズの時計をあまり着けませんが、今どきの時計が好きな人にはいいと思うし、一般的には着けやすいと思います。
WWD:デザインには別の案もあったのですか?
藤原:最初に2案デザインを提出したので、2つのフェースのサンプルが上がってきました。もう一つのデザインは微妙な色の違いです。同じ黒でもアクセントにほかの色が入っていたりしてもう少しビンテージ感が強かったので、よりシンプルなモデルを選びました。
WWD:今後の「タグ・ホイヤー」とのプロジェクトは?
藤原:決まっていないです。ひとまず、第2弾まで。
WWD:(新型コロナウイルスの影響で)自宅で自粛していると、腕時計をする機会が少なくなりませんか?
藤原:どうでしょう。少し話はそれますが、先日、時計ディーラーの友人と話すと、その人はもう時計の時間を合わせないと言っていました。(時計の針を)常に10時10分にして、ブレスレットとして使っているみたいです。一方で僕は、普段から腕時計で時間を確認することが多いので、時計を時計として使うタイプです。
WWD:(自粛中ということもあり)自宅での時間の確認方法を教えてください。
藤原:実は自宅にある時計は、目覚まし時計だけですね。今は、ユーチューブや「ネットフリックス(NETFLIX)」で好きな時間に好きなものを見られるから時間の感覚がずれてしまいがちですけど、僕は常にテレビをつけているので、それで時間を確認することが多いかな……「『ミヤネ屋』、2時か」みたいな感じです(笑)。