国内主要百貨店5社の6月度売上高は、前年同月に比べて約2割の減収だった。各社は緊急事態宣言の全面解除(5月25日)から6月頭にかけて全店再開にこぎつけたものの、買い物は必要最低限にとどめ、感染リスクを避けて生活圏で済ませるという消費者傾向は根強い。そのため食料品に強い地元密着型の郊外・地方店が立ち直りつつある一方、衣料品の比重が高く、インバウンドの穴が大きい都心店は回復への足取りは重い。
三越伊勢丹が前年同月比22.5%減、高島屋が同17.3%減、大丸松坂屋百貨店が同25.7%減(大丸心斎橋店、大丸下関店を除く)、そごう・西武が同16.5%減、阪急阪神百貨店が同21.4%減(神戸阪急、高槻阪急を除く)。
三越伊勢丹の基幹3店は伊勢丹新宿本店が同21.9%減、三越日本橋本店が同17.1%減、免税売上高の比重が高い三越銀座店は同45.3%減だった。伊勢丹立川店(同8.5%減)、伊勢丹浦和店(7.6%減)といった郊外店とのコントラストははっきりしている。他社でもインバウンドに強い高島屋新宿店が同29.8%減、大丸心斎橋店が同43.5%減だった。
ボリュームゾーンの婦人服は落ち込みが続く。混雑を避けて各社で五月雨式に始まったセールも出足は不発という声が聞かれる。高島屋はセール開始から5日間(6月26~30日)の売り上げ実績が、昨年の3日間(28~30日)の実績を12%下回った。月全体で婦人服の売上高は同30%減。セール時期を前年より早めたそごう・西武も衣料品は同約20%減に終わった。
一方、リベンジ消費や定額給付金の効果による高額品の伸長に期待がかかる。「月初は生活必需品へのニーズが強かったものの、その後特選や宝飾品などが上向いてきた」(三越伊勢丹広報)。阪急うめだ本店は特選カテゴリーの売上高が前年同月比2%増で、ブライダルジュエリーや高額のバッグなども動いた。