中国は事前に動物実験をしなくとも化粧品を輸入販売できるように法律を改正し、2021年に導入する予定だ。「21年1月1日付で、シャンプーやチーク、マスカラ、フレグランスなどの日用化粧品は、目と肌の炎症テストのために中国の研究所で行う動物実験が免除される」とヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル(HUMANE SOCIETY INTERNATIONAL)が発表した。なお、ヘアカラー剤やパーマ液、日焼け止め、育毛剤に加え、子ども向けの製品や新しい効能をうたう製品などの“特殊化粧品”は引き続き動物実験が必要となる。また、中国に輸入される化粧品のうち大半は、先に挙げた日用化粧品が占めている。
新しい法律はまだ決定となっていないものの、企業が動物実験を避けるために必要な基準やその申請方法などについて公開される予定だ。トロイ・サイドル(Troy Seidle)=ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル リサーチ&トクシコロジー バイス プレジデントは「(法律が定められる)可能性は高いだろう。動物実験免除の実現性を信じている」と前向きに話す。
14年にも、中国は国内で生産された化粧品および越境ECなどオンラインで販売された製品には動物実験を課さないと決めた。昨年12月には、動物実験を行わない「リーピングバニー」認証を得た化粧品ブランド7つに、クルエルティーフリーのまま中国で製品を販売することを許可した。
仮に法律が制定されたとすると、マーカーが販売前の製品に対する動物実験は必要となくなるものの、販売後の動物実験を廃止するとは限らず、複数のNGO団体が掲げるクルエルティーフリー基準を満たさないことになる。しかし、「何千匹もの動物の命を救うことは可能だ」とヒューメイン・ソサエティー・インターナショナルは見ている。
現在中国は3つの動物実験を強要しており(目の炎症に対するテスト1種、肌の炎症に対するテスト2種)、それぞれでウサギ3匹が犠牲になる。最後にデータを得ることができた13年の実績によると、年間で12万匹が動物実験のために使用される計算だ。「動物を用いない現代の実験はかなり発達しており、結果が出るのが早く、さらにコストも抑えることが可能だ。今回の法律が制定されれば完全なる問題解決にはならないものの、救われる命の数を見るだけで大きな進歩となることは間違いない。とても大きなチェンジを招くことになる」とサイドル=バイス プレジデントは語る。