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デイトナがコロナ禍全店休業でも前年並みの売り上げをキープ キーマン3人を直撃

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 セレクトショップのフリークス ストアなどを展開するデイトナ・インターナショナルの5月の売上高が、前年同月並みをキープした。緊急事態宣言が敷かれたため、稼ぎどきのゴールデンウイークの月初から中旬にかけて全店舗を臨時休業し、他社セレクトショップや百貨店が6~9割の大幅減収となる中、兼ねて注力していた自社ECの売り上げが大きく貢献。店舗売り上げ分を補填するまでに奏功した。(この記事はWWDジャパン2020年7月6日号からの抜粋です)

 「さまざまな局面に向け準備していた備えが利いた」と話すのは、EC統括本部の小林昌樹本部長だ。新型コロナの流行が懸念され、3月下旬に最初の休店を強いられた時点で、在庫を速やかにECに配分していったという。「春物の在庫を残すのは負担になる」と、他社に先行してセールに踏み切ったのも大きい。同社は2018年2月期の売上高が115億円、19年2月期が171億円、20年2月期が220億円と、順調に推移している。通常でもEC化率は50%近くと高いが、対策が講じて結果的に4月は自社ECで前年同月比70%増、5月は同115%増、EC全体でも80%増と伸長した。

 店舗休業中の販売員に向けてはeラーニングを実施し、その中で、地域ごとのマーケティングも行った。店舗統括本部の正木恒明本部長は「地域によってコロナの状況も大きく違っていた。北から南まで、その土地の企業や人がどう生活しているかを徹底的に調べた」という。さらに、休店中に顧客に向けた1対1の予約接客やビデオチャットツールを使ったオンライン接客をスタートし、「どう過ごしているか?欲しいものは?自粛明けに何がしたいか?」などを細かくヒアリングした。そこから見えてきた人物像をマーケティング部が作るECのコンテンツに反映させた。マーケティング統括本部の清宮雄樹本部長は「多くの人が不安や暇、“ネット広告”とも戦っていた時期だったと思う。お客さまのマインドに寄り添うことが大事だった」と、衣類の染め方やメイクといった自宅でできることのハウツー企画や、オンライン会議などで使える壁紙のフリーダウンロードなど、ともすれば実売に結びつかないコンテンツを充実させたという。だがその結果、オンライン上での客とのタッチポイントが上がり、ECの売り上げを押し上げたと分析する。

 顧客からのヒアリング結果は、5月中旬から順次再開してきた店舗にもすぐに共有していき、そのニーズも当たった。正木本部長は「ディズニーランドやキャンプに行きたい、料理にハマっている、ネットフリックスばかり見ているなど、そういう会話から始まったニーズを店頭のVMDや打ち出しに反映させた。その成功事例を再度ECにも共有することで、ECと店舗の相互送客の効果も出てきた」とEC、マーケティング、店舗の連携で相乗効果を得たと説明する。

 ただし、在庫消化を優先しているため、大きく減益しているのは確かだ。「利益の部分は厳しいが、販売員自体が店舗休業中でも、販売員としての価値を実感してくれたことは大きな収益だ」(小林)。

 全店が再開できたのは6月に入ってからだが、6月の店舗売り上げは30%増と、前年同月比を大きく上回った(ECは44%増)。「店の再開を楽しみにしてくれるお客さまが多いのは、販売員が日頃から良好な関係を築けているから。実際に普段店頭でしか買わないお客さまが自粛期間中にECで購入してくれたという数字も上がってきている」(清宮)。

 このままのペースであれば、春夏は目標をクリアする見込みだ。ただし、「長期化するセールの影響で、秋冬シーズンが立ち上がる8月末~9月中旬に、プロパーの商品を見たお客さまがどう反応するかが見えない」(正木)と不安も抱く。一方で、「今回とは逆に、通信障害が起きた場合などにEC売り上げを店舗がカバーできるのかといった企業としてのリスクヘッジを考えなければならない。さまざまなワーストパターンを見直す機会になった」(小林)と、今後も不測の事態に向けて備えると強調した。

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