左右が異なるアシンメトリーの人気が飛び火して、この夏に盛り上がってきたのは、前後の見え具合が大きく異なる“バックコンシャス”の装いです。周りと距離を保って生活する習慣が広がったこともあって、実は後ろ姿は結構、見られているものです。薄着になる夏場はどうしても着こなしが単調になりがちですが、バックコンシャスの服なら、すれ違いざまに思わず“二度見”してしまいそうなポジティブサプライズを仕掛けられます。
今回は、マルチWAY(何通りにも着まわしが可能)なアイテムでも定評のある人気セレクトショップ「ガリャルダガランテ(GALLARDAGALANTE)」のトップスから、“背中美人”の着こなしをご紹介します。
◆後ろ姿にビッグリボン “二度見”を誘う意外感
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ボウタイブラウスのヒットが続き、リボン(ボウ)はトレンドディテールの座をキープ。人目に触れる機会が増えてきたと思ったら、リボンを背中に引っ越しさせてみましょう。後ろ姿にリボンを持ってくれば、正面はすっきりした仕上がりに。
一方、背中側の見え具合はエレガントに様変わり。ゆるくノット(結び目)をこしらえて、余った端を長めに垂らすと、落ち感が出ます。腰の上あたりに、さりげなく入ったスリットもバックショットの好アクセントに。正面はシンプルな見え方だから、幅広いシーンで使えそう。前後でムードが大きく異なる“見返り美人”のコーデは、おしゃれ上手を印象づけられるスタイリングです。
◆背中側だけに大胆スリット のっぺり姿におさらば
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オーバーサイズのシャツを着こなす場合、前後の見え方を大きく変えると、全体がのっぺりとした印象にはなりづらくなります。背中側にサプライズを仕掛ける演出は、意外感が強く出る“技アリ”の演出。バックスタイルに大きなスリットが入っていると、正面の“きちんと感”を裏切る効果を引き出せます。
適度なシアー(透け)感があるタイプなら、長袖でも涼しげでフェミニン。ゆったりパンツと合わせても重たくならずに好相性を発揮。前から見るとシンプルで、後ろに遊び心のあるデザインは、おしゃれに手を抜かないキャラクターまで印象づけてくれそうです。
◆素材感をずらして、エレガントな前後アシンメトリー
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「あんまり冒険したくない」と考えるコンサバ・エレガンス派も、前後で表情の異なる装いは楽しめます。ダイナミックな変化を好まないなら、前後で質感をずらす“異素材ミックス”がおすすめ。光沢のあり・なしや透ける・透けないなどの違いを生かせば、装い全体が趣深く映ります。
背中側の裾の切り替えには、つややかなサテン生地が施されてフェミニン。シックな表情のブラウスでありながら、サテンならではの風合いが生きて、後ろ姿に格上感が漂います。ショート丈のジャケットを羽織って、ブラウス裾をちらりとのぞかせるようなレイヤードも組み立てられます。オフィスでも節度を保ちやすいデザインです。
◆白Tの常識をひっくり返す 背中に素肌の“窓”をオープン
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真夏の主役的なシンプルTシャツは、便利な分、着方がマンネリ気味になりがちです。最近は大胆に前後の変化を試したタイプが出現しています。中でもビッグシルエットのTシャツは、工夫を施す余地が大きいから、いろいろな仕掛けを盛り込めます。
オーバーサイズは風通しがよいので、真夏のTシャツにうってつけ。背中側にスポット(窓)が開いたデザインは、涼しいうえにアイキャッチー。風が吹き込むおかげで、快適に過ごせます。“白T”は、シンプル感が売り物でしたが、前後で異なった印象を与えるデザインなら、シンプルコーデから一気に格上げできます。
バックコンシャスのデザインを取り入れれば、背中にも適度な緊張感が生まれて、気持ちにもめりはりが加わりそう。ソーシャルディスタンシングが当たり前になった結果、周囲から見られる機会が増えた後ろ姿に、もっとおしゃれ感をプラスしてみませんか。
ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い