伊勢丹新宿本店は7月15日に本館3階のイセタンパーソナルラボ(以下、パーソナルラボ)で、3D計測とパーソナルラボの約10人の販売員によるマッチングサービス“マッチパレット”をスタートさせる。同サービスは、ワコール(WACOAL)の3Dボディースキャナーを利用して全身のサイズを5秒で計測し、可視化された体形データから、販売員が消費者一人一人にマッチするスタイリングを無料で提供するというものだ。販売員は、ボディースキャンのデータに基づいて体形タイプを27種類に分類診断し、約50ブランドの約1万種類からおすすめ商品とスタイリングを提案。30分コースは3Dボディースキャン計測とワンポイントアドバイス、90分コースはボディースキャン計測とコンサルティングという内容だ。
予約は、三越伊勢丹アプリでデジタルID会員登録をして希望の日時を選択後、アンケートフォームに好みのスタイリングやファッションについて記入する。サービス体験後は、“マッチパレット”の公式LINEアカウントからオンラインチャットサービスが受けられる。受け付けは24時間で、返信対応は10~20時。友だち登録をすると、いつでもパーソナルラボの販売員に質問や悩みの相談ができる。
このサービスは、オンラインでもオフラインでも最高の顧客体験の提供を目指し、最新デジタル技術と百貨店の強みである“人の力”を融合したものだ。通常のショッピング時の“悩みの時間”や“買い回りの時間”を短縮し、消費者の都合に合わせたショッピング体験を提供することで変化するニーズに寄り添うとを目的にしている。
ワコールが2019年末に発表した顧客とのコミュニケーションのスローガン“ミート・ユア・ジャスト”は“消費者のジャスト=ぴったり”を提供する“というものだ。下着は体に直接着けるもので、洋服以上にフィッティングや好みが問われる。それを解決するツールの一つとして開発されたのが3Dボディースキャナーだ。
ワコールは19年に同スキャナーとAI接客を導入したデジタル店舗「ワコール 3D スマート & トライ(WACOAL 3D SMART & TRY)」を出店しており、ビューティアドバイザーによるコンサルティングも行っている。いち早くパーソナライズ化に注力してきたワコールのノウハウが、下着の売り場だけでなく洋服の売り場でも採用されるのは自然な流れといってもいいかもしれない。新型コロナウイルスの影響をはじめ、さまざまな課題を抱える百貨店にとってワコールのデジタル技術を採用した新サービスが、売り場活性化のツールになるかどうかが注目される。