ユニクロやジーユーを傘下に持つファーストリテイリングは、2020年8月期連結業績(国際会計基準)予想を下方修正した。暖冬の影響で1月に、新型コロナウイルス感染症拡大で4月に下方修正しているが、再々修正後の売上高に相当する売上収益は前期比13.1%減の1兆9900億円(修正前は同8.8%減の2兆900億円)、営業利益は同49.5%減の1300億円(同43.7%減の1450億円)。2018年8月期以来、売上収益は2兆円を突破していたが、2期ぶりの割り込みとなる。減収となれば17年ぶり。足元では、特に国内ユニクロの既存店売上高が6月に前年同月比26.2%増となり、「7月も好調は変わらない」(岡崎健グループ上席執行役員最高財務責任者)と回復基調だが、東京で感染が再拡大し、海外でも依然従来通りの商売は見込めない。「変化を前提に、どんな状況にも対応できる仕組みを追求する」。
20年3~5月期は、国内ユニクロ事業は売上収益が前年同期比35.5%減の1352億円、営業利益が同74.0%減の75億円、海外ユニクロ事業は売上収益が同45.0%減の1322億円、営業損益が14億円の赤字(前期は363億円の黒字)、ジーユー事業の売上収益は同19.0%減の551億円、営業利益が同61.8%減の46億円だった。
国内ユニクロは、3~5月上旬の春物商戦の最盛期に最大311店が臨時休業したことで大幅減収となったが、円高による原価率の低減や「在庫消化のために必要な値引きはしつつも、集客のための過度な値引きは抑制」したことで、3カ月間の粗利率は52.2%と、前年に比べ3.3ポイント改善。在庫は、トレンド性の高い商品は値引きして期末までに消化を進めるが、定番商品は来期以降も持ち越して継続販売する。20-21年秋冬の生産については、「状況を見つつ、工場と連動しながら対応する。結果として生産量は減るかもしれないが、消費が回復しても対応できるような体制にしたい」。海外ユニクロ事業では、パイの大きな中国本土で5月は回復し増収となるも、「6月は北京などの地域での再拡大により、5月に比べると勢いは落ちている」。
店舗休業を受けて、国内外でECは好調だった。国内ユニクロ事業の3~5月のEC売上高は前年同期比47.7%の伸び。コロナショックをきっかけに、「従来は2~3年かかると言われていた世の中全般のデジタル化が数カ月で達成された。これを前提に、消費や生活のあり方が今後どう変わっていくか、仮説を持って分析し動向をつかんでいきたい」。