「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズは、これまでの通りの春夏/秋冬というコレクションや発表のスケジュールを改め、シーズンレス体制に移行する。コレクションは季節にとらわれず、ランウエイショーは世界を巡回。8月6日に中国・上海で行うリアルなランウエイショーを皮切りに、その次は、東京で開催予定だ。「メッセージ・イン・ア・ボトル(Message in a Bottle)」と銘打つ2021年春のコレクションはリサイクル・アップサイクル素材を使ったり、過去のアーカイブを再利用したりと、サステイナブルなマインドを多分に盛り込む。マイケル・バーク(Michael Burke)ルイ・ヴィトン会長兼最高経営責任者(CEO)と、ヴァージル ・アブロー(Virgil Abloh)メンズ・アーティスティック・ディレクターが明かした。次回のコレクションは、30ルックが新しい素材から、25ルックがリサイクル素材から、そして25ルックが過去のコレクションから誕生するという。過去のコレクションから誕生した洋服には、アップサイクルを意味する新しいエンブレムをがあしらう予定だ。
7月10日の日本時間21時30分からのデジタル・プレゼンテーションは、ショートムービーの上映になるようだ。実写とアニメを組み合わせた、ヴァージルが「ズーム(Zoooom)と、その仲間たち」と呼ぶムービーの舞台は、海への旅路のようだ。ヴァージルは、「僕は今までさまざまなニュー・システムを提案してきたけれど、次のショーは、最も革新的な試みになるだろう。洋服と、クラフツマンシップ、そしてアニメのキャラクター。その全てを詰め込んだものになる。僕のショーは、世界を駆け巡る。始まりもなく、終わりもなく、途切れない。みんなは毎回、ちょっとだけ新しいものを見て、同時に、見たことあるものもちょっとだけ再度目にすることになるだろう。全てのシーズンを1つにまとめるんだ」と話す。ヴァージルは、アニメの制作にファッション・フィギュア・スタイリストとして活躍したレジー・ノウ(REGGIEKNOW)と、サーラー・クリエイティブ・パートナーズ(The Sa-Ra Creative Partners)を起用。サーラー・クリエイティブ・パートナーズは、オンマス・キース(Om’Mas Keith)とタズ・アーノルド(Taz Arnold)、シャフィーク・フセイン(Shafiq Husayn)による米ロサンゼルスの音楽プロデューサーグループだ。
ヴァージルは昨年、激務による体調不良のため、医者にスローダウンするよう諭され、働き方に対する考えが変化した。「マルチタスクを抱え、『ファッション界は、どうしてこんなに生き急ぐんだ?』と自問自答するようになってしまった」とヴァージル 。そして世界は、新型コロナウイルスのパンデミックに直面する。「落ち込んだり、パニックになったりする代わりに『新しい時代だ。過去と現在を見つめ直し、自分たちで新たな未来を開拓しよう』と決意した」と続ける。
バークCEOは、「ファッションショーは、終わってなんかいない」と考えているが、新たな挑戦に意欲的だ。「人々は今、実際、旅行できない状態だ。だったら世界中の人々を1箇所のショー会場に呼ぶのではなく、私たちが世界に洋服を持って出かけようと思う」と言う。
上海のショーは一般にも開放しながら、ライブ配信。上海、東京に続く街は、年末までにいくつか発表するようだ。バークCEOは、「熱狂は、リアルな人々から生まれる。とにかく皆に楽しんでもらいたい。なぜなら私たちが最後に世界中で分かち合った感情は、(新型コロナウイルスにまつわる)悲哀だったから」。