良品計画の100%連結子会社で、米国で「無印良品」18店を運営するMUJI USAは、7月10日に日本の民事再生法に相当する米国連邦破産法第11章(以下、チャプター11)の適用を米連邦破産裁判所に申請した。新型コロナウイルスによる店舗休業の影響はもちろんあるが、コロナ以前から米国事業は赤字だった。「世界観を提供するために、大型店、しかも一等地への出店に傾注していた。米国の小売りをとりまく環境がこの2~3年で急激に変わる中で、分析が足りていなかった」と松﨑曉良品計画社長。
MUJI USAは2006年に事業を開始。20年2月期の売上高は110億円、最終損益は18億円の赤字だった。ニューヨーク59丁目や大型ショッピングセンター「ハドソンヤード」内などにも出店し、高額家賃による高コスト体質がネックになっていた。「ショッピングセンター内の店舗では、当社が17年に出店してすぐに周りのテナントが撤退するといったこともあった。米国の消費が実店舗からECへと急速に移行していく中で、マーケットを見る目が甘かったのかもしれない」と認める。
そうした状況に新型コロナが追い打ちをかけた。米国は3月17日から全店を閉鎖。5月末や7月上旬にようやく一部が再開したが、7月3日時点での再開店舗数は10に留まる。再開しても「特にニューヨークの店舗の売り上げは2割程度しか戻っていない。BLM(Black Lives Matter、黒人の命は大切)運動もあって米国の状況は不透明が続く」ことがチャプター11申請の背景だ。申請により「不採算店舗の閉鎖や、家賃の減額交渉を進めることが可能になる」と期待し、自力での再建を目指す。