「無印良品」を運営する良品計画の2020年3~5月期の連結業績は、売上高に相当する営業収益が前年同期比29.9%減の787億円、営業損益が28億円の赤字(前年同期は103億円の黒字)、純損益が41億円の赤字(同65億円の黒字)だった。営業赤字は1998年の上場以来初という。
新型コロナウイルスの影響でピーク時は最大で国内全店舗の66%にあたる202店を休業、海外は25カ国・地域の全店を休業したことが響いた。足元では、国内の6月の直営店、卸、EC合計での既存店売上高が9.5%増となり、「7月も6月並みで推移している」(松﨑曉社長)と復調傾向ではある。しかし、「こうした状況は日本のみで、長期的に続くとも思わない。景況感の悪化から、今後はお客さまがより価格に敏感になる。価格改定(値下げ)は毎年行っているが、さらに強めたい」と続ける。
ウィズコロナ、アフターコロナ時代の消費傾向としては、「(1)世界的に都心よりも郊外、(2)日常的なもの、(3)ECという流れがある」と指摘。(1)については、国内の全436店はショッピングセンター(SC)への出店が主だが、「SC内の店舗ではSCが休業すると営業ができない。生活に入り込むために、お客さまの近くに出店する。今後の国内出店はロードサイドの路面店を積極化する」。現状のロードサイド店は、19年4月にオープンした石川・野々市の1店舗のみ。国内は今後も年間10~15店の出店を続ける中で、ロードサイドも年間数店の出店を進めていく考え。
(2)については「生活をより豊かにするものが支持されるようになっている。たとえば食品ではレトルトが圧倒的人気ではあるが、手作りできるミールキットが伸びており、強化していく」。もともとの強みであり、ホームオフィス需要なども見込める家具や生活雑貨についても注力する。また、消費者の日常に近づくという点では、6月17日から都内3店舗のローソンで試験的に一部商品の販売を始めた。
(3)のECについては、20年2月期の国内売り上げに占めるECの割合は6.8%だったが、「中長期的に20%にまで高めたい」。そのために、自社ECを軸にしてきた従来の方針を変え、新型コロナによる店舗休業中の5月1日から「アマゾン(AMAZON)」、6月1日からは「楽天市場」でも一部商品の販売を始めている。「アイテムを拡大し、自社ECと同じように買い物ができるようにしていく。当面は(他のECモールなどへのさらなる出店よりも)オープンした『アマゾン』『楽天市場』を軌道に乗せていく」。
これまで未定としていた20年8月期連結業績は、営業収益が1745億円、営業損益が20億円の赤字、純損益が39億円の赤字の見込み。なお、当期より決算期を2月末から8月末に変更している。