ファッション専門学校のモード学園は7月10日、同校の卒業生で「ダブレット(DOUBLET)」のデザイナーの井野将之を招いた特別講義をオンラインで行った。Zoomを使って東京、名古屋、大阪の3校の約900人の生徒たちが参加。生徒一人一人が手作りのメッセージボードを掲げて「井野先輩、おかえりなさい」と挨拶して講義はスタートした。
井野は学生からの質問を受けて、学生時代の話からブランド立ち上げ直後のクリエーション、LVMHプライズでの審査、最新コレクションの制作についてまでを語った。「学生の頃に影響を受けた場所は?」という質問に対し、「もうなくなってしまった古着屋のシカゴ。古着を購入して解体して、縫ったりと実験をしていた。その頃は高級なセレクトショップへは行っていなかった」という。「コレクションを作る上で大切にしていることは?」という質問には、「まずは自分が新鮮に思えるかどうか。シーズンのサイクルがある中で、いつも新しく作ったものに一番新鮮さを感じる。自分が新鮮に感じるものじゃないと誰にも響かないと思い、新しいこと、フレッシュなものを作ろうと思いながら制作している。また、自分が欲しくなるものを作っている」と答えた。
講義の最後には「皆さんが今この世の中の状況(新型コロナウイルスの影響)を、学生のときに体験されているというのは100年に1回くらいのことだと思います。不便ですが、自分の時間が増えたり、『世の中がもっとこうだったらいいのに』と気づく貴重なチャンスになるはずです。今はインターネットの普及でさまざまなことを実現できるときでもあります。“学生だから”ではなく、“自分だから”と思ったことを実行することが大事です。これから、不景気で就職が不安になることもあるでしょう。しかし、どこで働くかよりも、どう働くかが大事になると思います。自分でよく考えて、その場所をよりよくしようと考えたら、アイデアは湧いてくるはず。そうしたら、どんな場所でも皆さんは輝けるはずなので頑張ってください」と学生たちにエールを送った。