マッシュホールディングスの6月のEC売上高は前年同月比2.3倍だった。好調の理由の一つが、店舗休業中から積極的に取り組むインスタでのライブコマースだ。特別なノウハウはない。画面越しでも丁寧なリアクションや商品説明など、接客の「基本のキ」といえる部分を大事にすることで、ECでの購入をためらう客の背中を押している。
インスタライブは、20〜30代向けの「スナイデル(SNIDEL)」が店舗の休業期間から特に力を入れる。ライブ配信を一方通行の宣伝の場ではなく、着用イメージができるだけ伝わるような「お客さまとのコミュニケーションの場」(「スナイデル」プレス)と捉え直したことが実を結んでいる。「リアクション(コメント)はすぐに返す」「商品の細部まで丁寧に伝える」「着用した時の全身のバランスと商品の細部、両方が分かるようにする」など、店頭では当たり前のルーティーンを毎回の撮影で実践。結果、「人気品番アイテムだけでなく、カット素材のワンピースなど定番以外のものも、画面を通じてシルエットのよさを伝えられて購買につながった」。ラクな着心地や動きやすさを求めるママ層には、同世代のスタッフがお勧め商品をアドバイスするなど、柔軟できめ細やかな対応も好評だった。
インスタライブで得たノウハウをもとに、ウェブサイトの発信もブラッシュアップしている。「小柄なお客様はアイテムの丈感を特に気にされる方が(ライブコマースでは)多かった。身長に合う着こなし提案があると安心して買っていただける」。そこで「スナイデル」の公式サイトでは6月から、同じアイテムを150センチ台のスタッフと160センチ台のスタッフが着比べる連載記事「ショート&トール」を開始した。同月の記事の中では、「マスク」「晩夏アイテム紹介」の記事に次いで高いPVを記録したという。またインスタのフィード投稿はこれまでは外国人モデル画像が主だったが、イメージが湧きやすいよう体型の近いスタッフの着用画像を増やした。その際には、スタッフの身長と着用サイズも欠かさず記入している。