三陽商会は17日、東京・銀座の自社商業ビル「ギンザ・タイムレス・エイト(GINZA TIMELESS 8)」の譲渡を発表した。譲渡先は非公開。譲渡益は67億円で、引き渡しは9月30日を予定する。ビル内の店舗は8月末で営業を終了する。
ビルは銀座8丁目の中央通り沿いにあり、地下1階〜地上9階の9フロア構成で延床面積は3991平方メートル。ビルは同社の「バーバリー銀座店」が前身で、15年のバーバリー社とのライセンス契約解除後は自社ブランドを集積した旗艦店として運営してきた。19年9月には銀座の訪日客増を背景に「おもてなし」を掲げ、「三陽銀座タワー」から現名称に改称、店舗を10ブランドに増やして全館リニューアルオープンしたばかりだった。
ビル売却の目的は「財務体質の強化」(同社広報)。三陽商会は15年のバーバリーショック以降4期連続の赤字(2020年2月期は28億円の赤字)を計上するなど業績が低迷している。6月には00年代のゴールドウイン再建の立役者である大江伸治氏が新社長に就任し、在庫削減や不採算事業の整理などの構造改革に着手した。同社は「(ビルの売却益で)手元資金を強化するとともに、今後の前向きな投資にも振り向けていきたい」としている。