「ザラ(ZARA)」のバッグが、メキシコで日常的に使用される“メルカドバッグという”ショッピングバッグと類似していることがSNSで「文化の盗用」と批判されている。
問題となったのは「ザラ」が販売するストライプ柄のメッシュ素材のトートバッグ。日本では7月26日現在も販売しており、価格は4590円。「ザラ」のバッグの販売価格が“メルカドバッグ”の約20倍ということも相まって、ツイッターなどのソーシャルメディアで炎上した。現地メディアもこの問題について報道したことで「ザラ」はメキシコ版のECサイトから問題の商品を削除したという。ザラからは本件に関するコメントは得られなかった。
この問題についてメキシコのファッション史に関する書籍「エチャ エン メヒコ(メイド・イン・メキシコ)」を共同執筆したダニエル・エランツ(Daniel Herranz)氏は、「これは文化的盗用ではない。(オリジナルとされるバッグのデザインは)どこにも登録されていないし、保護も受けていない。ラテンアメリカだったらどこにでもあるバッグだ」と「ザラ」を擁護する。その一方でツイッター上ではこれに反対する意見も散見され、特に現地では“メルカドバッグ”が40ペソ(約189円)で売られているのに対して、「ザラ」のバッグはその20倍以上の価格で売られていることも非難される原因の一つとなっているようだ。
メキシコでは同様の問題がここ数年で複数発生している。その結果、メキシコ政府は自国の文化特有のデザインなどを保護するための新たな法律を制定した。違反者には重い罰金や禁固刑が科されるという。
YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中