個性を尊重する潮流と、1点モノの制作が容易・可能になった技術革新の結果、ファッション&ビューティ業界では「パーソナライズ」や「カスタマイズ」、いわゆる世界に(ほぼ)1つの品物を作るサービスを提供するブランドや企業が増えています。そこで「WWD JAPAN.com」は、トレンドや最新ムーブメントを知るからこそのアイデアを形にしてもらいながら、サービスの利便性や価格、パソコンやスマホ使ったパーソナライズのユーザビリティーなどを検証します。
今回挑戦するパーソナライズは、「ロンシャン(LONGCHAMP)」の定番バッグ“ル プリアージュ”。皆さん、多分一度はご覧になったことがあるだろう、折りたたみ可能な“アレ”です。このバッグは実に頑張り屋さんで、僕がバッグ業界の取材を担当していた10年以上前から、「ロンシャン」を支える大事な存在。コレが今なお売れているからこそ、「ロンシャン」は冒険できる。そして、コレは売れ続けるためにアップデートを重ねている。最近はこんな風に思いながら、ソフィ・ドゥラフォンテーヌ(Sophie Delafontaine)=アーティスティック・ディレクターの、案外エッジィなコレクションを取材しておりました。
そんな「ロンシャン」の“ル プリアージュ”は、2003年にカスタムオーダーをスタート。バッグ本体(ナイロンやレザー、コットン)やフラップ&ハンドル(だいたいレザー)の配色を、それぞれ数色から選ぶカスタムオーダーは進化し続け、表参道や銀座のフラッグシップストアは、上層階にカスタムオーダー専用のスペースを設けるにいたりました。全国の百貨店などでは、カスタムオーダーのイベントにも積極的でしたねぇ。なんて思ったら、春からはついにパーソナライズに特化した“プリアージュ”の“マイ プリアージュ”が登場。7月にはバリエーションが大幅に広がり、3通りのサイズ、720万通りにも及ぶカラーリングパターン(!!)と、2万通り以上のアルファベット&数字を組み合わせ、世界で1つの“ル プリアージュ”を作るいうスーパー・パーソナライゼーションがデジタルで実現!!数学的に考えると、720万通りのカラーリング&2万通り以上の文字って、つまるところ1440億通りの組み合わせというケタ違いのバリエーションです(笑)。
というワケで早速、オンラインサイトで挑戦してみましょう。初挑戦の人は、イラストレーターのfoxcoさんによるスペシャルサイトを見ると、何を、どう選んだら良いのか理解できると思われます。
決めなきゃいけないのは、大きく分けて6つ。モデル、ボディの色、ハンドル&フラップの色、パーツの色、文字の色、文字の影の色、そしてフラップに施す刻印の文字と色です。全ては画面上で確認できるので、案外カンタン。1440億通りという数字にビビりましたが、特に色を変えると印象がダイナミックに変わるボディを考えるのは楽しいです。文字は7月から、アルファベットのみならず数字も可能に。さらにピリオドを入れる必要がなくなったので、例えば「NYC」や「CDG」「TYO」などの街、「BTS」などの推し(笑)、そして「YES」や「BLT」などの単語もイケるようになりました。一番悩むのは、ボディの色と文字の色&影でしょうか?個人的には今は、アクアグリーンやパウダーピンクなどのパステルカラーの気分。“元気いっぱい感”が表現できるイエローも気になります。文字の色と影は、それぞれの色を選択し直さなくても「入れ替える」ボタンをクリックすればカンタンに変わります。コレが、なかなか便利です。
そして完成品は、誰が、どう見ても「カナメ ムラカミ」な“ル プリアージュ”です(笑)。これでお値段は4万700円!!悪くありません。しかもバッグのキャンバス地には、リサイクルポリエステルを採用。大きなトラベルバッグには、ペットボトル23本分のリサイクル素材を用い、プリントにおいても水の使用量を大きく削減しているそうです。