花王の2020年1〜6月期連結決算(国際会計基準)は、新型コロナウイルスの影響により衛生関連製品は前年を大きく上回って推移した一方、インバウンド需要の減少や外出自粛の影響を受けて化粧品事業が落ち込み、売上高が前年同期比7.5%減(実質4.3%減)の6671億円、営業利益が同13.8%減の744億円、純利益が11.7%減の506億円だった。
事業部別では、コンシューマープロダクツ事業(化粧品事業、スキンケア・ヘアケア事業、ビューマンヘルスケア事業、ファブリック&ホームケア事業を総称)の売上高が同7.5%減(同4.1%減)の5511億円だった。化粧品事業は、花王中国がECの取り組みを強化して「フリープラス(FREEPLUS)」「キュレル(CUREL)」は順調に推移。しかし外出自粛や小売店の臨時休業の影響のほか、マスク着用によるメイクアイテムの売り上げが減少したことにより、売上高が同21.5%減(同20.7%減)の1099億円だった。
スキンケア・ヘアケア事業は、衛⽣意識の⾼まりで「ビオレu(BIORE U)」のハンドソープや⼿指の消毒液の売り上げが伸⻑。一方で、外出制限の影響を受けてUVケア製品などのシーズン品の売り上げが振るわず売上高が同10.4%減(同0.3%減)の1511億円だった。
唯一好調だったのはファブリック&ホームケア事業で、売上高が同5.8%増(同6.2%増)の1717億円だった。国内では衣料用洗剤や衣料用漂白剤が堅調に推移したほか、食器用洗剤も好調。また業務用製品では手指消毒液で増産体制を強化し、医療機関や飲食店、介護施設などにも供給した。
20年12月期の連結業績予想は、4月27日に発表した予想から下方修正。4月時点では売上高が前期比0.5%増の1兆5100億円、営業利益が同3.9%増の2200億円、純利益が3.9%増の1540億円としていたが、今回、売上高が前期比4.8%減(実質4.8%減)の1兆4300億円、営業利益が同10%減の1900億円、純利益が9.6%減の1340億円と発表。今後も新型コロナウイルスの影響は長期化すると踏まえ、粗利率の最も高い化粧品事業が今後の花王グループの業績を左右すると予想する。