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京都生まれの反射材「レフライト」、カラフル化でかつての輝きを取り戻せるか

 東証ジャスダック上場の研磨剤大手マイポックス(MIPOX)が、リフレクトテープなどのアパレル向け反射材「レフライト(REF LITE)」のリブランディングを本格的にスタートしている。2015年12月に経営不振に陥っていた日本レフライト工業から「レフライト」事業を譲受し、事業の再構築を進めてきた。今年3月にはブランドコンセプトの刷新やロゴリニューアルなどのリブランディングに着手。同社のナンバー2である中川健二取締役兼執行役員が陣頭指揮を取り、多彩なカラー反射材を軸にした新戦略に取り組む。かつて世界市場を席巻した反射材「レフライト」は、再び輝きを取り戻せるか。

WWDジャパン(以下、WWD):なぜ「レフライト」を?

中川健二取締役兼執行役員(以下、中川):当社は日系研磨メーカーではナンバーワンを自負しており、「塗る・切る・磨く」をコア技術にM&Aを含めた事業の再構築を進めていました。反射材は高い研磨技術やガラスビーズの均一な塗布コーティング技術などが必要とされる分野で、「レフライト」の製造元である日本レフライト工業とは、当社も一部の分野で競合していて同社の技術力の高さを知っていました。日本レフライト工業の高い技術があれば再建できると考えたのです。

WWD:事業譲受の際には、日本レフライト工業が民事再生法の適用を受けた。この手の再生案件は大変では?

中川:その通りです。民事再生で当時の主力取引先だった商社や資材問屋は、「レフライト」から他社の反射材に切り替えてしまった。ある意味当然です。部材は安定供給と安定品質が重要なので。その際には大変ご迷惑をおかけしました。当社がスポンサーになって製品供給の面ではバックアップする態勢にはなったが、一度切り替わったものをもとに戻すのは大変な努力が必要だと痛感している。ただ、逆に言えばもう失うものはない。反射材の市場を、もう一度ゼロから見直すいいきっかけになりました。

WWD:どう戦う?

中川:あらためて事業を見直す中でわかったのは、「レフライト」の最大の強みはカラーバリエーションであること。市場に出ている反射材のほとんどはシルバーのみ。現にほとんどの人がシルバー以外の反射材を見たことないはず。この分野の最大手である米国スリーエム(3M)社でさえ、数色のカラーを加えたのはつい最近です。でも京都の伝統的な染色産業の流れをくむ「レフライト」は、1990年代にも10色近いカラーバリエーションを作っていて、実際に大手ブランドのスニーカーなどにも採用されていた。当時は間違いなくオンリーワンであり、ナンバーワンの技術だったが、それがいつしか埋もれてしまっていた。

WWD:なぜでしょう?

中川:実際には反射の輝度や光度だけを考えたら色はシルバーがベストだし、大手の取引先である商社や資材問屋から来る発注はシルバーほとんどだったからです。オールド産業にはよくあるパターンですが、自分で市場を取りに行ったり、つくりにいくことをせず、カラーに需要がないと自分たちで決めつけてしまった。

WWD:リブランディングに伴い、新たな市場ターゲットをスポーツなどのファッション分野に定めた。その理由は?

中川:いったん切り替わった既存の市場を取り戻す必要はあるものの、「レフライト」はもはや後発メーカーのような立場です。技術では負けていないといくら意気がったところで、巨人スリーエム社を筆頭にした競合の壁は厚い。だから最大の強みを持つカラーバリエーションに磨きをかけてここから突破していこうと考えています。シルバーは確かにハイスペックな輝度や光度がありますが、一般的なアパレル製品ならば、そもそもシルバー一択という時点で、デザイン的観点ではねられてしまうことが多いはず。当然ですが当社のカラー反射材には消防服で求められるほど輝度はなくても、深夜のジョギングやウオーキングで可視化するには十分なスペックがある。そもそもカラー反射材の存在が知られていない以上、まずはその存在を知ってもらうことが重要だと考えています。

WWD:今後の計画は?

中川:最初のゴールは、「レフライト」の指名買いを増やしていくこと。そのためにはまず、カラフルな反射材の市場を創出する。カラーリングはどんどん増やしていて、20色近くにまでなっています。今後も要望に応じて、新色も作っていきます。スポーツに限らず、さまざまなファッションブランドとのコラボレーションを積極的に仕掛けていきたいと考えています。ターゲットは日本に限らず、海外ブランドも視野に入れています。当社の主力である半導体の研磨事業の売上高は6〜7割が海外で、海外拠点も多い。「レフライト」もピーク時には欧州だけで10億円近い売上高があった。それだけでも現在の「レフライト」事業の10倍近い規模です。

WWD:最終のゴールは?

中川:いずれは反射材でグローバル市場を制することです。反射材に限らず、売り方が下手というだけで日本企業が負けてしまうことが本当に多い。そもそも「レフライト」事業も単純な数字の計算を考えたらもうかりそうになく、こういった技術に優れた企業のM&Aは投資ファンドが手を出さない。当社がメーカーだからこそこのM&Aは成立したし、これを成功させれば、一つのモデルケースにもなり得る。日本の繊維産業には優れた技術がまだまだ眠っています。「レフライト」の再生に成功すれば、日本の繊維産業の活性化にもつながるはずだと考えています。

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