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渋谷の新名所ミヤシタパークのホテル「シークエンス」に潜入 渋谷を見渡せる開放感と自由度が魅力

 三井不動産によるホテルの新ブランド「シークエンス(SEQUENCE)」が東京・渋谷の宮下公園に8月1日開業する。当初6月に開業予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でオープンを延期。公園や商業施設が一体化した「ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)」の北側に位置するシークエンス ミヤシタパーク(SEQUENCE MIYASHITA PARK)は地上18階建てで、240室。4階がロビーラウンジカフェ、ホテルのレセプション、5階がレストラン兼スタジオ、6~17階が客室、18階がルーフトップスパ兼バーになっている。「シークエンス」のキーワードは“誰にでも開かれた空間”“その町ならではの文化を楽しめる”“心豊かになれる時間”で、ブランドプロデュースは「ディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)」などを手掛けるウェルカムが担当し、企画や運営はトップ・クリエイターとタッグを組んだ、既成概念にとらわれない次世代型のホテルだ。17時にチェックイン、14時にチェックアウトという時間帯からしてユニークな同ホテルとは?ここではオープン前の潜入リポートをお届けする。

 4階のホテルレセプションに到着するとチェックインコーナーがあり、そこでセルフチェックインするようになっている。支払い情報などを入力して部屋のカードキーも自身で登録。スタッフも常駐しているが、基本的に宿泊者自身で行う。レセプションの奥には広々としたロビーラウンジがあり、宮下公園にそのまま続く開放的な空間だ。木製カウンターやスツールは、以前の宮下公園のケヤキの木をアップサイクルしたもので、温かい雰囲気だ。公園の手前にはカフェ兼ショップの「ヴァリー パーク スタンド」があり、コーヒーやカクテルなどさまざまなドリンクをはじめ、ピタサンドやファラフェルなどの食事を提供する。朝食やランチのパッケージセットがあり、ホテルの部屋や宮下公園でそれらを楽しむことができるようになっている。ショップでは「シークエンス」のオリジナルグッズやアメニティーなどを販売する。宿泊者はオリジナルタンブラーを購入すれば、滞在中に好きなだけコーヒーや紅茶を楽しめるサービスも。小川広純ウェルカム事業開発部マネジャーは、「ヴァリーは渋谷の“谷”の意味で、カフェでなくあえてスタンドとしたのは、気軽に誰もが立ち寄れる場所にしたかったから。レジャーシートの貸し出しやオリジナルのローカル情報マップの配布なども行うビジターセンターの役割も果たす」と話す。

 ホテルのホテルのカフェやレストランを一般客が使用することもあるが、日本ではふらりと立ち寄れるカジュアルな場所はまだまだ少ない。日中はカフェとして、夜はバーとしての顔を持つ「ヴァリー」はホテルと渋谷の街をつなぎ、宿泊者と一般客が自由に利用できる気軽さと利便性を備えており、ぜひ、使用してみたいものだ。

刻々と変わる渋谷の表情を眺められる客室

 6階から17階の客室は、渋谷を見渡せる大きな窓が特徴だ。周りに視界を遮る建物がないので、あらゆる部屋から渋谷の街を眺めることができる。宮下公園が見渡せる部屋もあれば、山手線が走る様子を眺められる部屋もあり、時間帯によって刻々と表情を変える渋谷の景色を楽しむことができる。各部屋の窓辺には縁側スペースがあり、そこに座って景色を眺めてくつろいでもよし、仕事をしてもよし。バスルームから景色が見渡せる部屋もある。なんといっても絶景なのが、17階のスイートルーム。新国立競技場や代々木競技場、明治神宮の森、天気がよければ富士山も見渡せる。部屋のデザインはいたってシンプル。無駄がない上質な空間だ。家具は、ウェルカムが輸入販売するデンマーク発「ヘイ(HAY)」の家具やオリジナル家具などで、シャンプーをはじめとするアメニティーもオリジナルで開発したオーガニック製品。スイートルームなど以外の部屋のテレビはコードレス、電話はなく全てタブレットでチェックアウトなどの操作を行う。

 部屋のタイプはスイート、ツイン、ダブルなどに加え、最大6人まで泊まれるバンクルームがあるのもユニークだ。2段ベッドが置かれたバンクルームは2人部屋、3人部屋、4人部屋、6人部屋の4タイプで、グループ旅行や家族旅行にぴったり。3人部屋には「ネットフリックス(NETFLIX)」などを壁に投影して見れるプロジェクターが用意されている。

 また、240の全ての部屋に、若手クリエイターを支援する目的で、アート関連のプラットフォームである「ザ・チェーンミュージアム(THE CHAIN MUSEUM)」からの作品が飾られているのも面白い。4階にも作品があり、ホテル内には243点のアート作品が存在する。18階はスパ&バーのオープンを予定しているという。

シルクロードがテーマの新感覚ダイニング

 5階にあるレストランも独創的だ。朝食ダイニングルームを兼ねたレストラン&バーの「ドンシー レストラン&酒場(DONGXI RESTAURANT & SAKABA)以下、「ドンシー」は、シルクロードの東と西のあいだに位置する国々から着想を得ている。総料理長は「ディーン&デルーカ」の元総料理長の境哲也氏で、「ヴァリー」の監修も行う。一般客の利用も可能で、1階から専用エレベーターで5階に到着すると本格的なバースペース(酒場)がお迎え。世界チャンピオンレベルのバーテンダー3人がニューヨークスタイルのクラフトカクテルを提供する。食事前のウェイティングバーとしても、カクテルを楽しむバーとしても利用可能だ。「ドンシー」に一歩入ると長いカウンターがあり、そこで朝食ビュッフェを提供する(当面はセットメニューを提供)。その奥にはテーブル席があり、宮下公園を見渡せる空間になっている。料理は、トルコ、イスラエルやイランなどの中東、中央アジア、タイ、ベトナムなどの食文化をベースに日本の食材を用いた、オリジナリティー溢れるメニューばかり。小皿料理、炉端、土なべ料理などを気軽に楽しめるようになっている。

 仕事やプライベートで世界中のさまざまなホテルに滞在したが、「シークエンス」はまさに今の時代を反映するホテルだと感じた。セルフチェックインやテイクアウトなどは、新型コロナウイルス感染拡大で需要が高まっているが、そのコンセプトは使用する側の利便性を考えたもので、決してパンデミックを見込んでのことでははない。宿泊者の目的は観光、仕事、家族旅行、都内のリトリート(隠れ家)などさまざまだ。「ヴァリー」の存在は、私が米ニューヨーク出張で滞在した「パラマウント ホテル(Paramount Hotel)内にあった「ディーン&デルーカ」をほうふつとさせる。私はホテルの部屋で一日中仕事をしなければならない状況で、「ディーン&デルーカ」でランチ、ディナーをテイクアウトして過ごし、その存在をありがたく、とても合理的だと感じたのを思い出す。滞在者の目的に寄り添い、渋谷とシームレスにつながる「シークエンス ミヤシタパーク」に注目だ。

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