米老舗百貨店チェーンのロード&テイラー(LORD & TAYLOR)と、その親会社である新興ファッションテック企業ル・トート(LE TOTE)は8月2日、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用をバージニア州の破産裁判所に申請した。
ロード&テイラーは1826年にニューヨークで創業し、米国で最も古い百貨店だとされている。しかし近年は業績不振が続いており、2019年8月には前の親会社だったハドソンズ・ベイ・カンパニー(HUDSON'S BAY COMPANY)からル・トートに7500万ドル(約79億円)で売却された。ル・トートは、12年にサンフランシスコで創業した衣料のサブスクリプション・サービス企業だ。同社はロード&テイラーの知的財産権やECサイト、在庫などを含めて獲得し、38店舗の運営も引き継いだが、新型コロナウイルスの影響によって3月半ばからはその全店を休業せざるを得なくなった。ECサイトの営業は継続していたものの、店舗の売り上げ減を補うほどではなく、4月にはロード&テイラーが清算するのではないかとの憶測が広まっていた。
破産裁判所に提出された資料によれば、ル・トートとロード&テイラーは1億3790万ドル(約146億円)の長期負債を抱えている。最大の債権者は850万ドル(約9億円)の資金が回収できなくなるイスラエルの投資会社リクイディティー・キャピタルII(LIQUIDITY CAPITAL II)だが、売掛金が未回収のアパレル企業も多い。主なところではG-IIIレザーファッションズ(G-III LEATHER FASHIONS)が470万ドル(約4億9820万円)、ポロ ラルフ ローレン クロージング(POLO RALPH LAUREN CLOTHING)が350万ドル(約3億7100万円)、マイケル・コース(MICHAEL KORS)が210万ドル(約2億2260万円)の債権者となっている。
20年5月には米百貨店ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)やバーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)を運営するニーマン・マーカス グループ(NEIMAN MARCUS GROUP)、米百貨店のJ.C.ペニー(J.C.PENNY)、そしてJ.クルー グループ(J.CREW GROUP)が経営破綻した。7月には、米ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)がやはり経営破綻している。