百貨店主要5社の2020年7月度業績は、前年同月比で2〜3割程度の減収だった。各社1〜2割減だった6月と比較するとやや悪化した。食品など生活必需品に強い郊外・地方店は堅調で都心店が低調という構図は変わらないが、全国的な新型コロナウイルスの再拡大に加えて長梅雨やクリアランスセールの6月への前倒しにより、集客にマイナス影響が出た。
各社の業績は、三越伊勢丹が前年同月比29.1%減、高島屋が同20.5%減、大丸松坂屋百貨店が同22.3%減、そごう・西武が同15.5%減、阪急阪神百貨店が同25.1%減。新型コロナの感染拡大で、日を追うにつれて売上高・客数が減少した。阪急阪神百貨店の売上高は中旬(15〜24日)に前年同月の12%減の水準まで回復したが、25日以降は同28%減まで後退。三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店と三越銀座店の7月の客数はそれぞれ同55%減と、6月よりも悪化した。
カテゴリー別にみると、衣料品の低調が続いている。三越伊勢丹は婦人・紳士合わせて同3割減だった。大丸松坂屋百貨店は「クリアランスセールを分散化したことで衣料品が特に苦戦した」。
一方都心店では、宝飾品や特選などの高額品が国内需要増により健闘した。阪急阪神百貨店は、阪急うめだ本店で導入した時計・宝飾品のZoomとLINE接客での受注額が7000万円超と成果が出た。高島屋は特選カテゴリーのマイナス幅は2%にとどめた。そごう・西武も「定額給付金支給などの効果でプレステージブランドが前年実績を上回った」。
全国的な感染拡大により各地の百貨店店舗で感染者が発生しているが、各社とも8月1日時点では現状の営業体制を維持する方針だ。「(営業短縮・休業などの予定は)現時点ではない。改めて各店の感染防止策を徹底して運営する。地域店では密を防いだ上での催事も徐々に増やしていく」(三越伊勢丹広報)。