専門店チェーン、セレクトショップの2020年7月度売上高(既存店ベース)は、明暗がはっきり分かれる結果となった。マスクや食品など、日用品に近い商品を扱う業態は客数を伸ばして6月に続き好調を維持。一方で、トレンドのファッション商品を強みとする業態は、セール分散の影響も受けて売り上げを落としている。
ワークマンの売上高は前年同月比21.4%増だった。認知拡大によって客数が同20.5%増と伸びた効果。「ファッション商品の拡大などでこの間新客を獲得してきたが、7月は長引いた梅雨により、そういった商品よりもレインウエアやレインブーツが売れた」と広報担当者。
「無印良品」の直営店、卸、ECの合計売上高は同14.8%増、なかでも食品カテゴリーが同49.5%増という大幅な伸び。食品の伸びに引っ張られる形で客数も同20.5%増と伸ばし、まさにここ数年の食品強化策の成果が出ている。生活雑貨も“巣ごもり”需要で調理器具や文房具類が売れて同16.1%増。それらに比べると衣服・雑貨は同5.3%増と弱く、「やや勢いに欠ける」(広報担当者)。
「ファッションセンターしまむら」の売上高(6月21日~7月20日)は同9.1%増だった。昨年、一昨年7月が2ケタの落ち込みだったという要素はあるが、引き続き“巣ごもり”需要でリラクシングウエアやインテリア関連商品が伸長。レイングッズも好調だったという。
ユニクロの店舗とECの売上高は同4.4%増。大きなセールやコラボの打ち出しなどはなかったが、話題の“エアリズム マスク”効果などで客数は同2.5%増だった。売れ筋は、キャンペーンで打ち出した“感動パンツ”、“エアリズム”関連商品、“プリーツスカートパンツ”などの夏物商品。「郊外と都心といった、立地による集客のバラつきも収まってきており、都心店にもお客さまは来ている」と広報担当者。
一方で、ユナイテッドアローズ(UA)の小売りとECの合計売上高は同15.3%減。本来ならば7月はセールで売り上げの山ができる時期だが、「今年は4月末から段階的にセールを行っているため、売り上げが分散している。コロナ再拡大の影響で大型都市の店舗の売り上げが弱いことも影響した」と広報担当者。
「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ニコアンド(NIKO AND…)」などを抱えるアダストリアの売上高は同19.9%減だった。ただし、客単価は同4.0%増と伸びている。「6月にセールを前倒しした結果、休業中の滞留在庫の消化が順調に進んだため、7月は無理なセールを行わなかった」(広報担当者)と、手応えを語る。