ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」は、2021年2月28日開催予定の「第15回湘南国際マラソン」の大会スペシャルスポンサーを務める。同大会はプラスチックごみの削減を目的とした世界初の試みとして、ランナーがマイボトルを持参する“マイボトル・マラソン”に取り組む予定で、関係者が4日に会見を行った。
「ザ・ノース・フェイス」は大会のウエアやロゴ入りのマイボトルおよびカップを提供する。森光ゴールドウイン常務執行役員は「『ザ・ノース・フェイス』が普及に努めてきたトレイルランニングは自然の中で行うので、できるだけごみを減らす工夫をしてきた。一方で、ロードランニングではいまだに使い捨てプラスチックなどが使われている。ランニング市場において両者の境界線が曖昧になっている中で、われわれの知見を生かした環境配慮型のロードランニングのあり方を提案したい」とコメントした。
参加者は400mLのマイボトルやマイカップを携行して走行し、コース上に500カ所以上設けられた給水スポットで給水を行う。給水スポットは従来よりも大幅に数を増やすことで、混雑や密集状態を避ける狙いだ。
この取り組みにより、これまで2万人を超える参加者のために用意していた3万1500本のペットボトルと50万個の使い捨てカップを削減する。加えて、参加Tシャツやスタッフウエアにリサイクルペットボトルが原料の繊維を用いるほか、大会プログラムの電子化など包括的な改善を通して約6tの二酸化炭素の排出量削減に貢献する。
監修を務めた高田秀重・東京農工大学教授は「プラスチックごみは有害物質の“運び屋”で、海洋汚染の原因となっている世界的な課題だ。日本全体では数億本に近い未回収ペットボトルが海や川に流出している。今回の大会で削減が見込める3万本のペットボトルは、荒川の河口でボランティアが1年間で回収する量に匹敵し、大変意義のある取り組みだ。これまでは短期的な経済効率やタイムを競うことに注力していたが、これからは何のために走るのか、大会の本質を見据え、持続可能な方法を探っていくことが重要だろう」と同大会への期待を寄せた。
大会名誉会長の河野太郎防衛相は、「今回導入する給水システムは、災害時の防災にも役に立つ。『湘南国際マラソン』は地元ボランティアの協力で成り立ってきた大会なので、スポーツイベントとしてだけではなく、地域防災に貢献する可能性も探りたい」と述べた。
なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う同大会の開催可否は12月に最終判断する。