※この記事は2020年6月24日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
無印とローソンの接近
「無印良品」を運営する良品計画とコンビニ大手のローソンの提携が話題です。
6月17日からローソンの都内3店舗で試験的に靴下や肌着、文具、レトルトカレー、化粧水などの販売を始めました。今後、取り扱い店舗の拡大やプライベートブランドの共同開発なども検討されているそうです。国内の「無印良品」の店舗数は437店(2020年2月期)、一方でローソンは約1万4000店。「無印良品」はローソンと手を組むことで、商圏を一気に広げることができます。
このニュースの意外性はローソンと「無印良品」という組み合わせです。
「無印良品」は長年ファミリーマートで販売されてきました。もともと良品計画とファミリーマートは旧セゾングループの仲間同士でした。その後、紆余曲折を経てファミリーマートは現在、伊藤忠商事の子会社になっています。両社は仕入れ条件などの面で折り合いがつかず、19年1月末に提携が解消されました。それから1年半、コンビニの棚から「無印良品」は消えていたのです。
「無印良品」は衣食住の幅広いアイテムを取り扱い、「生活の基本となる、あらゆる分野の商品でお客さまがまず思い浮かべるブランドになる」(松崎暁・良品計画社長)ことを掲げています。消費者の生活の最も近くにあるコンビニに商品を置けないことは大きな機会損失でした。
新型コロナウイルスの影響で自宅での過ごし方を見つめ直す機運が高まっています。リモートワークも当たり前になり、自宅を快適な環境にしたいと考える人は増えている。ハレの商材ではなく、身近な衣食住の商材を扱う「無印良品」にとっては追い風です。
コンビニの棚に並べられる商品は靴下や文具など小ぶりなものに限られるでしょうが、「無印良品」は5月からアマゾン、6月から楽天市場での取り扱いを開始しました。1676万ダウンロードを誇るショッピングアプリ「MUJIパスポート」をはじめ、これまでは自社ECに囲い込むことを基本戦略にしてきたわけで、方針転換といえるでしょう。圧倒的な集客力を誇るアマゾンと楽天市場への出店によって新規顧客を取る。緊急事態宣言による店舗休業が背中を押した面もあるでしょう。消費者の生活圏とスマホの中に深く入り込む「無印良品」から目が離せません。
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