資生堂の2020年1~6月期連結決算は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を全地域で受け売上高が前年同期比26%減の4178億円となった。利益面は市場環境の低迷に加え、減産に伴う工場生産性の悪化により営業損益が34億円の赤字(前年同期は689億円の黒字)、経常損益が63億円の赤字(同679億円の黒字)。休業中の従業員給与や店舗・工場維持費などを特別損失として計上したことから純損益は213億円の赤字(同524億円の黒字)と厳しい結果となった。
事業別の売上高は、日本事業が同31.9%減の1505億円。eコマースが同19%増と伸長したものの、緊急事態宣言解除後も続く小売店の時短営業や来店客数減などの影響を受け、百貨店や量販店ブランドなどを中心に売り上げが低迷した。さらにインバウンド売り上げも70%超減となった。
中国事業は、同7.1%減の1000億円。3月下旬以降の感染者数減少により回復傾向となり、プレステージブランドが50%増とプラスに転じた。さらにeコマースも同35%増と好調だったものの、価格面での競争激化や香港市場の回復が難しかった。
トラベルリテール事業は、中国の海南島や韓国の市中免税店を中心に成長しているものの、米州や欧州、日本などの落ち込みが響き同19%減の516億円だった。そのほか、アジアパシフィック事業は同27.8%減の261億円、米州事業は同42.1%減の367億円。欧州事業が同27.5%減の349億円、プロフェッショナル事業が同22.1%減の56億円、その他が同28.3%減の121億円だった。
第3四半期以降の緊急事態宣言やロックダウンを想定していないことから通期連結業績見通しを公表した。ニューノーマル(新しい日常)に応じた新製品のプロモーション強化や役員基本報酬の一部返上(CEO30%、ほか10~15%)、設備投資の見直しなどを進め、売上高は前期比15.8%減の9530億円、営業利益が同100%減の0円、経常損益が65億円の赤字、純損失が220億円の赤字を見込む。
また、中期計画「WIN2023」を策定。自社開発やオープンイノベーション、戦略的M&Aを推進し、ジャパニーズビューティや、クリーンやナチュラル、メンタル・ウエルネスカテゴリーなどを含むスキンビューティ領域を強化する。魚谷雅彦資生堂社長兼CEOは「デジタルを活用した事業モデルへの転換を加速する。また、アジア圏の早期回復を実現させる。23年に収益の完全復活を目指し、不退転の決意で臨む」と述べた。
10月には、美容機器メーカーのヤーマンとの合弁会社エフェクティムが稼働する。「2年前から契約に向け話し合いをスタートしていた。21年初めには、両社の専門性を駆使した新ブランドの商品を発表し戦略についても発信する」と魚谷社長は語った。